国分坂ブログ

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お得意様への年賀の挨拶。手土産を渡すのは違法?適法?どうなんでしょう?

【この記事のまとめ:手土産等に関して、公務員や政治家の場合には法律上の規制があります。民間企業の場合は原則として法律上の規制はありませんが、例外的に規制に抵触することがありますので、少しご注意を。】

【この記事の対象(特に読んで欲しいひと):挨拶回りで「贈答」の可否を疑問に感じた方、法務に携わる方、法律に興味がある方】

 

年始のご挨拶。

皆さんは如何されてますか?

 

今回は、年始のご挨拶に「手土産」などを持って行き受け取ってもらうことや、逆に「手土産」を渡されて受け取ってしまうことは、果たして「法的な問題」があったりするのでしょうか?という内容です。

 

 

1.公務員へのお土産は、収賄罪(しゅうわいざい)になる可能性があります!

公務員が、「利害関係を有する者」から金銭や物品を受け取ると、刑法上の収賄罪になってしまう可能性があります。

公務員が、利害関係のない者から、通常の社会儀礼の範疇でお中元やお歳暮などを受け取ることは許されていますが、公務員との間で「仕事上のお付き合いがある者」が、公務員に対して手土産等を渡すことは、「利害関係者」からの公務員への賄賂、とみなされてしまう可能性がありますので、避けるべきでしょう。

 

なお、親族や親友が公務員で、年末年始の休みなどに会うときにお土産を持っていく、というような場合には、許される可能性が高いでしょう。

 

2.政治家からお土産をもらうことは禁止!政治家にお土産を渡すことは禁止される場合があります!

政治家が有権者に対して寄付をすることは、政治資金規正法で禁止されています。

有権者から政治家に対して寄付を求めることも、政治資金規正法で禁止されています。

 

有権者が、政治家個人へ贈り物をすることは、「金銭」はダメですが、「物品」は許されています。ただし、その範囲は年間150万円以内とされています。

 

法人が、政治家個人へ贈り物をすることは、一切禁止です。

 

ですので、政治家からお土産をもらうことはできませんし、会社(法人)の社員が政治家にお土産を渡すことも、会社(法人)からの政治家への贈り物とみなされうるため、禁止されると考えるべきでしょう。

ただ、会社とは全く関係ない「一個人の立場」で、政治家にお土産を渡すのであれば、許容されるかもしれません。

 

3.民間企業間での贈り物。原則的には適法です。ただ、場合によっては法律上、問題になるケースも。

民間企業間においては、贈り物をすることなどについては、原則として法律上の規制はありません。

 

ただ、贈り物をする相手方が「株主」である場合などでは、会社法120条の「株主の権利行使に関する利益の供与」の問題があり得ます。

会社法120条は「会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない」と規定しています。

これは、「会社が有利になるよう議決権を行使してもらう見返りに財産上の利益を供与することを禁止する規定」ですので、年始の挨拶に手土産を持参することは、通常、この規定に抵触しないでしょう。

ただし、手土産と称して過分な物品を贈与したり、株主総会の間近に手土産を持参するといったことは、当該規定に該当するおそれがあり得るため、避けるべきかもしれません。

 

また、会社法967条の「取締役等の贈収賄罪」の問題もあります。

会社法967条は「取締役、監査役等がその職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処する。」と規定します。

これは、「取締役や監査役が、自己の有する権限事項について、違法・不正な行為を依頼され、財産上の利益を受けたときは、処罰の対象となる」という規定です。

年始の挨拶に手土産を持参することは、通常、この規定に抵触しないでしょう。

ただし、手土産と称して過分な物品を取締役・監査役等に贈るのは、この規定に抵触するとみなされる可能性があり得るので、避けるべきでしょう。

 

つまり、「常識的な範囲での手土産」であれば、年始の挨拶の時に持参しても、会社法120条や967条に抵触することはないはずです。

 

なお、企業によっては、社内・社外の「贈答禁止」を定めているケースもあります。特に外資系企業などには多いようです。

そのような場合には、無理に渡そうとすると相手方にご迷惑をお掛けしてしまうので、手土産は持ち帰ることとして、ご挨拶だけで済ませるようにすべきでしょう。

 

「手土産」は、いかなる場合でも単なる「おまけ」にすぎません。

大切なのは、お世話になっている相手方に対して感謝の意を表し、「今年一年もお願いします」と、誠実な挨拶をすることですよね。

 

「手ぶらで挨拶に行くのは、なんとなくしずらい」

そんな気持ち、ありますよね。

民間企業間においては、一般的には問題ないのですが、

しかし、相手によっては「手土産」を渡す、渡されることが「法」に触れてしまう、法に触れなくても「社内規定」に触れてしまう、ということもあり得るわけです。

 

「挨拶」はあくまでも、「相手本位」で行うもの。

「相手のご迷惑にならないよう」に配慮し、気持ちの良い挨拶を交わして、今年一年、良い関係を継続できるよう、ちょっと心掛けるべきなのかもしれませんね!

  

以上、

お得意様への年始の挨拶、手土産を渡すのは違法?適法?

でした!

 

ここまでお読み頂きまして、

誠にありがとうございました!

 

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