国分坂ブログ

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レーダー照射、「反論映像公開」が不評なのは?反証と立証の違い?民事訴訟法で考える?パートⅤです!

【この記事のまとめ:「あった」「なかった」の意見対立に関して、裁判所で使う「民事訴訟法」を用いて論理的に考えて見ましょう、という内容の第5弾!立証と反証の違い、ということについて考察してみましょう!】

 

【この記事の対象者(特に読んで欲しい人):民事訴訟法で遊んでみたい人/知的好奇心が旺盛な人】


 

今回は、「民事訴訟法」をニュース事案から考えてみましょう!の第5弾です!

 

この「パートⅤ」は、できれば過去記事Ⅰ~Ⅳを順番に読んで頂いた方が理解しやすいと思います。

宜しければ、↓  どーぞ! 

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この記事では、「レーダー照射に関する事案」を例に、分かりにくい「民事訴訟法」を勉強してみましょう、という企画なんです。

なお、 実際の事案を例題にしてはいますが、あくまでも「民事訴訟法」を学ぶための素材として利用させて頂くだけで、実際のこの事案について、意見を述べたり批評したりするものでは、全くございません。

どうぞその点を、ご留意頂ければと存じます。

 

K国側が公表した「反論映像」ですが、少なくとも我が国においてはこの映像は「証拠」として評価されていない、という状況のように見受けられます。

その理由を、「民事訴訟法」を用いてちょっと考えて見たいと思います。

 

最初にまず、「反証」と「立証」というものを、説明させて下さい。

  

用語解説

「反証」とは、立証責任を有しない側が、立証責任を有する側の主張を否定し、否定する根拠等を示すことです。

・立証責任を有しない側とは:「否認」の場合の被告、「抗弁」の場合の原告

・立証責任を有する側とは   :「否認」の場合の原告、「抗弁」の場合の被告

「立証」とは、裁判官にその事実があったことを確信させるための証拠を提出する行為をいいます。反証に対して、「本証」ともいいます。

※立証は、裁判官に、その事実があったことを「確信」させる必要がありますが、反証は、立証責任を負う者の主張が「真偽不明」であると裁判官に思わせることで足りる、とされます。

 

つまり、今回のK国が公表した「反論映像」が、「立証の証拠物」なのか、それとも「反証の証拠物」なのかで、評価が異なるということなんです。

 

「立証」のための証拠物であるのなら、その事実があったことを「確信」させるための証拠でなければならない、ということになります。

これに対し、

「反証」のための証拠物であるのなら、相手方(B省)の主張が真偽不明(つまり、言っていることが正しいのか間違っているのか明確に判断できない状態)にする程度の証拠で足りる、ということになります。

 

K国の主張を振り返ってみましょう。

K国は、「(もしかしたらレーダー照射したかもしれないが、それは)B省の飛行機が危険な飛行をしたからだ!」という主張をしてきました。

これは、当ブログの過去記事において、「民事訴訟法」に基づき考えると「抗弁」としての主張、という解釈が可能と考察しました。

 

またK国は、反論映像を公開すると共に、B省に対して「謝罪を要求」しました。

この「謝罪要求」は、「民事訴訟法」的に考えると、「反訴」と解釈できます。

原告であるB省が、被告であるK国に対し、「レーダー照射により損害を生じたため、再発防止策を示して欲しい」と請求する訴訟のなかで、被告K国がB省に対し、「威嚇飛行による謝罪をせよ」と請求した、という風に捉えることができる、という見方です。

  

用語解説

「反訴」とは、訴訟中に「被告」が「原告」に対して、権利を請求する旨の訴えをすること。裁判所は、原告の被告に対する請求と合わせて、被告の原告に対する請求を審理することになります。

例)売買契約の売主が原告として、買主を被告として代金請求している訴訟で、被告である買主が、売主である原告に対し、売買目的物の引き渡し請求の訴えをする、など。

 

さて、被告が原告に「抗弁」主張する場合も、「反訴」において被告が原告に請求する場合も、「民事訴訟法」的に考えると、その立証する責任は、被告側にあります。

つまり、K国が今回公開した「反論映像」を、「抗弁」主張の証拠、もしくは「反訴」主張の証拠として提出したとするのであれば、それは、「反訴の証拠物」ではなく、「立証の証拠物」でなければならない、ということになるのです。

(立証責任を負う者が出すべき証拠は「立証の証拠物」、立証責任を負わない者が反証として出す証拠が「反証の証拠物」です。)

 

つまり、

K国が公開した「反論映像」は、「反証」の証拠物としてであればまだしも、「立証」の証拠物としては、「その事実があったことを確信させる証拠」にはまるで達していない、という評価なのだと思われます。

(「その事実」とは、この事案でいいますと「G省の威嚇的な飛行があったこと」になります。)

 

民事訴訟法的に考えると、「立証責任」を有しているのはどちらか?という視点は、非常に重要なんです。

「立証責任」を有している方が立証できれば勝ち、立証できなければ負け、というのが民事訴訟法の原則的なルールです。

そして、立証責任を有していない方は、立証責任を有する者の立証を妨害するための「反証」を行うことができる、というルールです。「反証」は「立証」とは違い、必ず行わなければならないというものではなく、必要なければ「反証」しなくても構いません。

 

つまり、裁判所において主張する場合、自分が立証責任を有している立場なのかどうかを常に意識する必要があります。

立証責任を有しているならば、その主張に対して「立証」しなければならず、この「立証」とは、裁判官にその主張する事実があったことを「確信」させるための証拠を出すことなのだ、ということを意識する必要があるのです。

 

逆に、立証責任を負わない立場の場合は、「反証」をすることができ、「反証」とは、立証責任を負う者の主張を、真偽不明(言っていることが正しいのか間違っているのか明確に判断できない状態)にする程度の証拠を出せばよいのだ、という認識で構いません。

 

いかがでしょうか、

「民事訴訟法」を用いて考えて見ますと、少しすっきりしますでしょうか?

 

なお、繰り返しますが、実際のこの事案は、「民事訴訟法」で解決するような内容ではなく、高度に政治的な国際問題ですので、私ごときが意見を述べることができるようなものでは、全くございません。批評も論評もございません。

あくまでも、この事案を使ってみると、取っつきにくい「民事訴訟法」の解説がしやすいかな?ということで、ご説明させて頂いた次第なのです。

その点、くれぐれもご容赦願います!

 

というわけで、以上、

「民事訴訟法」を用いての頭の運動、第5弾!でした!

もしも多少なりともお楽しみ頂けたのであれば、

私としては嬉しい限りです!

 

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ここまでお読み頂きまして、

誠に有り難うございました!

 

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