国分坂ブログ

「歩くこと」「考えること」が好きな、国分坂です!

レーダー照射の決定的証拠はやはり「機密」?民事訴訟法で考える?パートⅢ!です!

【この記事のまとめ:「あった」「なかった」の意見対立に関して、裁判所で使う「民事訴訟法」を用いて論理的に考えて見ましょう、という内容です!】

 

【この記事の対象者(特に読んで欲しい人):民事訴訟法で遊んでみたい人/知的好奇心が旺盛な人】

 

今回は、「民事訴訟法」で遊んでみましょう!第3弾です!

 

レーダー照射に関する両当事者の対応、

なんとなく予想通りの展開?という感じになってきたかなあ、

なんて思ったりするのは僭越でしょうか?

しかし、これは「民事訴訟法」を用いて論理的に考えてみたことにより、展開の予想がある程度みえてきた、ということによるのでは?

なんてね!

すみません、思い上がりでした!

 

(あ、もしも、当ブログの過去記事をまだお読みでない方は、まずはこれらをお読み頂いてから、この「パートⅢ」をお読み頂いた方が、分かりやすいかも知れません。)

 

【過去記事】

www.kokubunzaka.com

 

www.kokubunzaka.com

 

 

さて、くどいように繰り返しになってしまいますが、

この記事では、実際の「具体的な事案」について、ああだこうだと考えたり、意見を述べたりするわけではございませんので、その点はくれぐれも、ご了承ください!

 

では、レーダー照射に関する事案についてですが、やはりB省は「電波を受信したデータ」は、機密情報のため公表できない、という立場のようですね。

おそらく、それはそうなんだろうなあ、

という予想は、皆さんお持ちだったことでしょう。

 

「電波を受信したデータ」は、決定的な証拠であり、もしこれを公表できるのなら、過去記事「パートⅡ」で考えたような「間接事実」の積み上げ、などといったことをする必要は全くなかったはずですからね。

「電波を受信したデータ」を公表したら、それでB省側の勝利、ということになるのでしょう。

では、決定的な証拠を出せないとしたら、B省側は負けてしまうのでしょうか?

 

いえ、そんなことはないのです。

実際の訴訟手続においても、「直接的な証拠(主要事実に関する証拠)が存在しない」ということは往々にしてあることで、この場合、原告は裁判官に対し、「請求する権利が存在するのでないか」と思わせるような「間接事実」の証明を積み上げていく、ということをするのだ、ということは過去記事「パートⅡ」で記載しました。

B省が行っていることは、まさにこの「間接事実」の積み上げ、ということなのではないか?と「民事訴訟法」的発想からは考えることができそうなわけです。

  

用語解説

・「主要事実」は、原告が請求する権利を直接的に証明する事実。

・「間接事実」は、「主要事実」があることを推認させる事実。

・「補助事実」とは、「証拠」の信用力に関する事実。

※詳細は、当ブログの過去記事『レーダー照射の動画公開?証言に食い違い?民事訴訟法で考えてみる?パートⅡです!』をご参照下さい。

 

 B省の公表した映像は、「間接事実」の証明として、かなり有効性の高いもの、といえるのかもしれません。

では、これに対し、相手方としては、どのような対抗策をとるべきなのでしょうか?

 

相手方が「直接的な証拠を示せ」と求めることは、まあ、気持ちはわりますよね。

ごちゃごちゃ言うなら証拠を出せ!と。

よくあるセリフです。

しかし、「直接的な証拠が示せないのであれば、こちら側には責任はない」、ということには、残念ながらなりませんよね。

パートⅡのおさらいになりますが、「直接的な証拠」とは、つまり「主要事実」に関する証拠ですが、これが示せない場合には、原告は「間接事実」の証拠を示して「主要事実」が存在したであろう事を裁判官に推認させる、ということができるわけです。

 

繰り返しになりますが、まさしくB省は、この「間接事実」の証拠を積み上げる、という活動をしているように、民事訴訟法的発想からは、みることができるのです。

ですので、相手方としては、これに対応しなければなりません。

たとえば、「この間接事実とされるものは、主要事実には関係しないのだ」という反証活動を行ったり、「B省の証明する映像内容は全く信用できないものだ」という、B省の証明力を低下させるための「補助事実」を出していく、という活動をすべきだ、ということになりますね。

 

しかし、いまのところ相手方は、B省の公表した映像が「危険な電波の発信に関係しない映像である」とか、「信用できない映像である」といった証明は、できていないように思われます。

むしろ、「パートⅡ」でみたとおり、B省が、その公表した映像による「補助事実」の証明により、「相手方証言の信用力を低下させることに成功した」、という現状なのかもしれません。

もしもそのようにみることができるとしたら、相対的に、B省の発言や映像の信用力が高まっている、ということになりそうです。

 

こうみてみると、B省が公表した映像により、B省は相手方に一歩リードしているようにも見受けられます。

ただ、B省も「決定的な証拠」は機密扱いのために出せない、という状況にあるため、「主要事実」の立証に完全に成功した、とはいえないわけです。

よって、「完全な勝訴」を得るためには、できればB省としては、今後さらに「間接事実」を積み上げていくことが望ましい、と「民事訴訟法」的発想からはいえそうです。

 

では、どのような「間接事実」を積み上げるべきでしょうか?

たとえば、訴訟活動における間接事実による立証のセオリーとしては、「過去の似たような事案についての事実」を証拠として出す、という手法が有効だと思われます。

 

B省の公表した映像の中で、「危険な電波を受けたということで警告音が鳴り、飛行機が回避行動をおこなう」、というシーンが出てきます。

軍事には素人である裁判官は、この映像をみても、本当に「危険な電波を受けたから」このような警告音が鳴ったのかどうか、仮に危険な電波を受けたとしたら、本当に「このような行動」をするのかどうか、ということを判断できません。

(意地悪な見方をすれば、すべて自作自演?と疑うことも、できなくはないのです。)

 

そこで、過去にB省の飛行機等が危険な電波を受けたときの映像があったとして、その映像が今回の映像と類似の内容であるとしたら、どうでしょうか?

過去に、危険な電波を受けたということで今回と同様の警告音が鳴っていて、今回と同様の回避行動をしていた、という映像。

その映像が証拠として提出されれば、今回の映像の信用性は更に高まるでしょう。

「なるほど、おそらく過去の事例と同様に、今回の映像においても、危険な電波を受けたために過去の映像と同じような警告音が鳴っているのだろう。また、危険な電波を受けたために、過去の映像と同じような回避行動を、今回の映像においてもとっているようだ」、という推測が働くことが期待できるのです。

過去の類似の映像は、非常に有力な「間接事実」の証明となりうるのです。

 

さてさて、くどいまでに繰り返しますが、

この記事においては、実際の事案そのものの状況を分析したり、意見を述べたり、判断しようという趣旨では全くありませんので、その点、くれぐれもご了承ください!

あくまでも、「民事訴訟法」を用いての頭の体操、なんです!

  

とういうわけで、

「民事訴訟法」を用いての知的遊戯、第3弾!でした!

お楽しみ頂けましたでしょうか?

 

【関連記事】

www.kokubunzaka.com

 

www.kokubunzaka.com

 

ここまでお読み頂きまして、

有り難うございました!

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村