1月1日に「会社設立」はできません!
【要約:法務局がお休みの1月1日等に「会社の設立」をすることはできません!法務局がお休みで、登記申請ができないからです!】
【この記事の対象(特に読んで欲しいひと):会社の設立を考えている人/会社の法務手続を手がける人/法律に興味がある人】
1.法務局が休みのときは、登記が「効力要件」となる行為は、効力発生させることができません!
会社を設立するためには、法務局で「設立の登記」を申請しなければなりません。「登記申請をすることで効力が発生するもの」を、「効力要件の登記」といいますが、会社設立の登記はその典型例です。
つまり、会社設立の登記をしなければ、会社は設立されないのです。
当然ながら、法務局が休みの時は、登記申請をすることはできません。
毎年年末の12月29日から、年始の1月3日までは、法務局はお休みになります。
ですので、
12月29日から1月3日の間は、会社設立の登記をすることができず、
よって、
12月29日から1月3日の間は、会社を設立できない、ということになります。
(もちろん、それ以外の土日祝祭日など「法務局が休み」のときは、会社を設立できません。)
たまに、「1月1日に会社をつくりたい!」
というご要望を頂くのですが、
残念ながらできないのです~と、上記の説明をすることになります。
なお、「効力要件の登記」以外の、通常の登記が必要となる行為の場合は、1月1日に効力を発生させることができます。
たとえば、会社の商号を変更するとか、本店を移転するとか、役員の選任や辞任など。
これらについては、例えば1月1日に変更の効力を発生させることもできます。もちろん、登記の申請は1月4日以降の、法務局の休み明けになるのですが。
(この場合、登記記録には「1月1日変更・1月4日登記」と記載されます。)
「会社設立以外」のほとんどの登記が「効力要件の登記」ではありませんので、「1月1日はダメ!」という論点は、「会社設立」のときを憶えておけばよいでしょう。
2.条件付決議により「2018年5月1日」に効力発生させるさせる場合には、少しだけご留意を!
1月1日の夜12時すぎ、
「新しい元号を4月1日に発表し、5月1日に施行する」
といったニュース速報がでましたね!
司法書士である私は、このニュース速報をみて、
職業柄、
「ということは、5月1日を効力発生とする議事録は、ちょっと気をつけないとね」と瞬時思ったわけです。
登記は「西暦」ではなく「和暦」で記録するので、株主総会や取締役会の議事録も、「西暦」でなく「和暦」で表記するケースが少なからずありますよね。
私が気をつけないと、と思ったのは、
例えば1月中の総会で、5月1日に会社の商号を変更しよう、なんてことを考えた場合の議事録の作成についてです。
この場合、株主総会議事録は、
議案 商号変更のための定款変更の件
議長は、当社の商号を下記のとおり変更するため、当社定款第1条を下記のとおり変更したいこと、その変更の効力は下記のとおりとしたいことを説明し、議場に諮ったところ、満場一致により承認可決した。
変更後の商号 株式会社ニュー国分坂
新定款第1条(商号)
当社の商号は、株式会社ニュー国分坂と称する。
定款変更の効力発生日 平成31年5月1日
といった具合に作成すると思うのですが、ポイントは「定款変更の効力発生日」です。
そう、平成31年の5月1日には、新元号が施行されるので、もう「平成」ではないのですね。
でも、新元号が発表されるのは、4月1日。
4月1日以前に議事録を作成する場合、新元号はわかりません。
どうしましょうか?
・・実際には、上記の議事録記載例のように、「平成31年5月1日」と記載したとしても、法務局は「平成」を新元号に「読み替え」てくれるのではないか、と思うんですよね。
つまり、「平成31年5月1日」と書いてあるのを「●●(新元号)5月1日」と読んでくれるであろう、ということです。
なので、それほど心配する必要はないとは思うのですが、万が一、法務局から議事録を修正して欲しい、などといわれると面倒ですので、できれば、「西暦」で議事録を作成しておけば万全、問題は発生しません。
(「司法書士病」に罹っている私ですと、どうしても万全を期したい!と思ってしまうため、おそらく「西暦」で表記してしまうでしょう。)
つまり、上記の議事録案のうち、定款変更の効力発生日のところを、
定款変更の効力発生日 2019年5月1日
と表記しておけば「万全」ということになりますね。
一応、ご留意しておいて頂ければと思います。
と、いうわけで、
以上、
1月1日には「会社設立」はできません!
でした!
ここまでお読みいただきまして、
誠にありがとうございました!