会社の資本金額、1000万円にしますか?999万円にしますか?(消費税の免税事業者になりますか?)
【要約:設立する会社の資本金を1000万円未満にすると、設立1期目と2期目は、どれだけ稼いでも、消費税を納税しないで済みます!】
【この記事の対象者(特に読んで欲しい人:会社を設立したい人、会社の法務に関わる人、法律に興味がある人】
今回は、会社を設立する場合、
「資本金をいくらにします?」
というお話です。
- 1.消費税の【免税事業者】になれるかどうかがポイント!
- 2.出資金2145万円以上だと登録免許税を節税する方法があります
- 3.でも、許認可等が必要な会社の場合、一定額以上の資本金額が要求される場合がありますので、要注意!
1.消費税の【免税事業者】になれるかどうかがポイント!
たとえば、
Aさんは、
「資本金を1000万円にしようかな」、
と考え、
資本金1000万円の会社を設立しました。
一方、Bさんは、
「資本金を1000万円にしようかな」、
と考えましたが、
資本金999万円の会社を設立しました。
さて、AさんとBさんの会社では、
どのような違いが出るでしょうか?
「Bさんの会社は銀河鉄道999に乗れる!」
ぶぶっー!はずれ!
(いや、乗れるかもしれませんけど・・)
正解は、
Aさんの会社は、
設立1期目から消費税の納税義務が発生しますが、
Bさんの会社は、
設立1期目と2期目は、どれだけ売り上げがあがっても、消費税を納めなくていいのです!資本金が1000万円未満の会社だと、消費税の免税事業者になれるのです!
※なお「消費税の免税事業者」に関しては、
税務上の論点ですので、
要件などの詳細は、
必ず税務署に確認してくださいね!
(定款内容を決める前に、税務署に相談!)
消費税の免税事業者に関する論点などは、
司法書士などはあまり関心がないため、
ご依頼人から「資本金1000万円で!」
といわれますと、
ほいほいと、なんらのアドバイスもせずに、
そのまま1000万円で設立登記をすることが、往々にしてあるかもしれません。
私もそうですが、
司法書士って、わりと、税金問題にすこし疎かったり、関心が低かったり、ということもありまして・・
ですので、この点は、
設立される方自身が、しっかりとご注意された方が良いかもしれません!
まあ、
「999万円」は少し露骨ですので、
「900万円」などにしておいても良いかもしれませんね。
2.出資金2145万円以上だと登録免許税を節税する方法があります
会社設立登記を申請するときの登録免許税は、
資本金の額に1000分の7を掛けた金額になります。ただし、これによって計算した額が15万円に満たないときは、15万円になります。
具体例を挙げてみましょう!
資本金の額が900万円の会社の場合、
設立登記の登録免許税は、
1000万円 × 7/1000
で、7万円。
でもこれだと15万円に満たないので、
結論的には、15万円、になります。
資本金の額が3000万円の会社の場合、
設立登記の登録免許税は、
3000万円 × 7/1000
で、21万円。
(15万円を超えますので、算出した金額がそのまま登録免許税になります。)
つまり、
計算すると「15万円に満たない」場合と、
計算すると「15万円を超える」場合とがあるわけですね。
その分岐点が、
「資本金の額2145万円(おおよそ)」。
2145万円 × 7/1000
は、15万150円、100円未満は切り捨てなので、
結論的には、15万100円、になります。
つまり、
資本金の額が2145万円以上になると、
登録免許税が15万円では収まらなくなるのです。
・・なるべく、
15万円で収めたい、
ですよね?
その場合は「資本準備金」を定めましょう!
出資した額の半分までは、資本金に入れずに、
「資本準備金」に入れることができます。
そして、
会社設立登記を申請するときの登録免許税は、
「資本金」の額に1000分の7を掛けた金額で算出するのであり、「資本準備金」の額は算出に関係しないのです!
たとえば、
出資金額が3000万円だったとしますよね。
これをそのまま全部資本金にしてしまうと、
設立登記の登録免許税は、
3000万円 × 7/1000
で、21万円です。
ところが、
出資金額3000万円のうち、
資本金は1500万円にして、
資本準備金を1500万円にした場合、
設立登記の登録免許税は、
1500万円 × 7/1000
で、10万5000円、
15万円に満たないので、
結論的には、15万円、になります。
「6万円」の節税になりましたね!
まとめますと、
出資金が2145万円以上の場合、
資本準備金を定めると、
登録免許税が節税できます!
(資本準備金は、
「出資額の半分まで!」です。
その点、ご注意ください!)
3.でも、許認可等が必要な会社の場合、一定額以上の資本金額が要求される場合がありますので、要注意!
いままで、大雑把にいいますと、
「資本金の額を一定額減らすとメリットがある場合がある」
といったことを述べてきたわけですが、
「資本金の額を減らしてはまずい!」
というケースもあるので、
ご注意ください!
それは、
「行政庁の許認可等が必要となる事業」の場合、
一定額以上の資本金額等が要求される場合が少なくないのです。
この点は、要注意ですね!
せっかく登記手続が完了し、
いざ許認可を受けて事業を開始!
と思ったら、
許認可がおりない・・
悪夢です・・
消費税の免税事業者や、
登録免許税の節税も重要ですが、
許認可等が絡む場合は、
許認可が下りなければ始まりません!
必要となる資本金の額を事前に確認しましょう!
この点、くれぐれもご注意ください!
・・・と、いうわけで、
会社設立時「資本金」の額をどうする?
といっても、
結構、いろいろと論点があるんですね~
今回は、そんなお話でした!
以上、
会社の資本金額、
1000万円にしますか?
それとも999万円にしますか?
でした!
ここまでお読みいただきまして、
本当にありがとうございました!