冷え込む夜には温かな『食堂かたつむり』などいかがですか?
今週のお題「読書の秋」
1.はじめに(『食堂かたつむりのご紹介』)。
冷え込んできました。晩秋ですね。
さて、如何でしょうか?
こんな夜には心がほっこりと温かくなるような、
やさしい味がする小説などは?
『食堂かたつむり』
今回のオススメは、こちらの一品です!
映画化もされましたので、
ご存じの方も多いことでしょう。
でも、改めてこの本を手に取ってみると、
そのあたたかくも優しいこと!
寒い日陰から陽だまりに移った時のぬくもりのように、
寒い外から家に戻りココアをひとくち含んだときのように、
ほっと、優しくあたたかい・・
ふんわり、ほっこりと迎えてくれます。
そんな小説だと、私は思います。
2.『食堂かたつむり』のあらすじ。
ではでは、あらすじ、いってみますね!
ある日、トルコ料理店でのアルバイトを終えて家に戻ると、
部屋の中は空っぽになっていた。
インド人の恋人も、部屋の中の全てとともに、消えていた。
残されたのは、祖母の形見のぬか床の壺だけ。
「私」は、深夜バスに乗り込んだ。
小さな荷物と、ぬか床の壺だけを持って。
15歳のときに飛び出してきた、ふるさとに向かうために。
すっかりと寂れた駅前のロータリーでバスを降りた。
「私」は、気が付いていた。
自分が、声を失ってしまっていることに。
村の人たちが陰でルリコ御殿と呼んでいる実家の前で、「私」は立ちすくんだ。
ルリコはおかんの名前だ。
ルリコ御殿が立つ広い敷地は、おかんの愛人、通称ネオコンが所有していたものだ。
私生児である「私」は、父親をしらない。
しかし、ネオコンだけは父親でないと思いたい。
「私」は、おかんに願い出た。
一生一回の思いで、声の代わりに文字を書いた。
【 おねがいします
精一杯がんばるから
物置小屋を
かしてもらえませんか? 】
「私」は、すべてを失った。
家財道具も、調理器具も、財産も。
でも、「私」にはこの体がある。
祖母のレシピは、すべて「私」の舌が覚えている。
料理を作ることなら、「私」にはできる。
・・・開業準備に忙しくて、
お店の名前は決め忘れていた。
ふとんのなかで考えていると、
ひとつのアイデアが飛び出した。
・・小さな空間を背負い、
ゆっくりと、進んでいく・・
オープンする食堂の名前は、
もう、それしかありえない。
「 食堂かたつむり 」
そう、「私」はこれから小さな空間を背負い、
ゆっくりと、進んでいくのだ・・
3.私の感想など。
あらすじ、でした!
私、この小説、大好きでして!
あらすじ、
うまく書けずに苦しんじゃいました!
本当に、
あたたかくて優しい物語です。
『食堂かたつむり』の素晴らしいところは、
ぬくもりの籠もる文体、
魅力的な登場人物たち、
あたたかなストーリー、
そしてなによりも、
たべもの達への、愛。
そうなんです、
「食材」「料理」「食べること」に対する愛情が、
この物語には溢れているのです!
食材達を大切に大切に使って、
最高の料理に仕上げて、
大切な人達に喜んで食べてもらいたい。
これって、
自分以外の存在、
つまり、
周りのひとたちだけでなく食材たちまでもを、
大切に大切に思いやりながら、
丁寧に丁寧に関わり合っていく。
「調理すること」も、
「食べること」も、
「他者との関わり」であり、
それが、「生きる」こと。
そんな物語であるように、
私には感じられました。
私の拙い言葉では伝えきれませんが、
優しくあたたかなこの物語の底には、
生命って、なに?
という大きな問いが、
ゆったりと流れているように思われます。
『食堂かたつむり』
本当に素敵な一冊です!
是非、大好きな飲み物をご用意頂いてから、
このあたたかな物語をご賞味されては!?
以上、
冷え込む夜には温かな
『食堂かたつむり』を、
でした!
ながながとお読み頂き、
有り難うございました!