クーリングオフはハガキでOK?ハガキがダメなら簡易書留? ← どっちもおススメできません!
【要約:「クーリングオフ」する際は、ハガキで出したり簡易書留で出したりするのはおススメできません!「配達証明付きの内容証明郵便」で出すべきです!】
【この記事の対象(特に読んで欲しいひと):クーリングオフをしたい人/法律に興味がある人】
- 1.なんでハガキだと、ダメなの?
- 2.簡易書留だったらいい?
- 3.クーリングオフ書面は「配達証明付きの内容証明郵便」で出す!
- 4.事例紹介(:ハガキで出したけど対応してくれない・・・待っていたら1ヶ月以上が経過してしまった、というケース)
1.なんでハガキだと、ダメなの?
そもそも論ですが、
クーリングオフは書面でする、と法律(特定商取引法9条2項等)で規定されていますが、口頭でもその効力が生じる、と考えられています(福岡高判平成6年8月31日)。
しかし、後日裁判になってしまったとき、「口頭でクーリングオフをした」と主張しても、それを証明することは非常に困難です。
よって、クーリングオフは、立証が可能な「書面」で行うべき、ということになるわけです。
ところで、
クーリングオフができる契約で商品を購入しますと、
説明書に「クーリングオフの仕方」などの記載があり、
「ハガキで書いて出してください」
などと書かれていることがあります。
でもですね、
クーリングオフは「ハガキ」で出すべきではありません!
それは、なぜか!?
もしも「ハガキ」で出した場合、
相手方の業者が
「そんなハガキは受け取ってない」
と主張すると、
非常に面倒なことになるからです。
こちらとしては「送った!」
と言っても、
向こうが「受け取ってないよ~」
と言えば、水掛け論ですね。
この場合、
もしも訴訟になった時は、
原則的には、
クーリングオフ書面を送ったこちら側が、
相手方に発送したことを証明すべき、
ということになってしまうのです。
しかし、「ハガキ」では、
発送したことが証明できません。
何の記録もこちらの手元には残りませんからね。
なので、
クーリングオフをする場合は、
・いつ、相手方にクーリングオフの書面を「発送」したか
を証明し、できれば、
・いつ、その書面が相手方に「届いた」か
を証明できる郵便方法で送るべきなのです。
※クーリングオフは、その書面を発した時(つまり「発送した時」)に効力が生じる、とされています。(特定商取引法9条2項等)
よって、基本的には「発送」したことが証明できればいいわけですが、相手方に「届いたこと(到達)」も証明できれば、相手方との交渉がしやすくなりますし、後日、訴訟になったときに、より強い証拠力を有することになるわけです。
2.簡易書留だったらいい?
では、クーリングオフの書面を
簡易書留で送付するのは、どうでしょう?
簡易書留なら、
発送した日について郵便局が受領証を出してくれますし、
インターネットの郵便追跡により、
相手方への郵便物到達日を確認できますね。
これなら、
いつ相手方にクーリングオフの書面を発送し
いつその書面が相手方に届いたか
がわかるので、OK!
となりますでしょうか?
いや、
クーリングオフは「簡易書留」で出すべきではありません!
という結論になります。
それは、なぜか?
もしも「簡易書留」で出した場合、
相手方の業者が、
「確かに書面は受け取ったけど、
クーリングオフに関する書面ではなかった」
なんてことを言いだしたら、どうしましょうか?
こちらとしては、
「何言ってんの!クーリングオフの書面に決まっているでしょ!」
と当然言うわけですが、
向こうが
「いや~、お礼状だったと思いますよ~捨てちゃったけど」
などと言い出したら、
これもまた水掛け論。
もしも訴訟になった時には、
原則的には、
クーリングオフ書面を送ったこちら側が、
相手方に送った書面の内容について証明すべき、
ということになります。
「簡易書留」では、
送ったことや届いたことは証明できても、
送った書面の内容(文面)は証明できません。
・・・では、どうすべきなのでしょうか?
3.クーリングオフ書面は「配達証明付きの内容証明郵便」で出す!
ハガキもダメ、
簡易書留もダメ、
ならどうしよう?
そうです、
内容証明郵便(配達証明付)で出すべきなんです!
内容証明郵便は、その書面を3部(同じもの)用意して、郵便局に提出します。
郵便局では、その3部に証明印を付けて、1部を相手方に送付し、1部を郵便局で保管し、1部を返却してくれます。
この手続きを踏むことで、相手方に送付した書面の「内容」を郵便局が証明してくれるのです。
相手方に送付した書面と同じ内容の書面が、自分の手元にも残りますので、仮に訴訟になったときには、その手元に残った書面を裁判所に提出すれば、相手方に送った書面の内容を証明することができるわけです。
なお、郵便局では受領証も発行してくれますので、書面を発送したことをその受領証で証明することができます。
更に「配達証明付」にすれば、郵便局が相手方に配達したことを証明する書面(「郵便物等配達証明書」(ハガキ))を、後日郵送してくれます。
このハガキにより、その書面が確かに相手方に届いた、ということも証明できるわけです。
まとめますと、「内容証明郵便(配達証明付)」で送れば、
・いつ発送したか
・どのような内容か
・いつ相手方に届いたか
を全て証明することできるので、
相手方は、もはや言い逃れができない!
ということになるのです。
クーリングオフは、一定の条件のもとで契約を一方的に解除等できる、非常に強い効力を持つものです。
業者によっては、言い逃れをしよう、などと良からぬことを企むことも、実際ありえるんですね。
ですので、是非とも、
クーリングオフは、内容証明郵便(配達証明付)で送付することをお奨めします!
4.事例紹介(:ハガキで出したけど対応してくれない・・・待っていたら1ヶ月以上が経過してしまった、というケース)
最後に、私が相談をうけたケースを少しご紹介しますね。
ご相談者は、いわゆる「マルチ商法」の契約の申込をしてしまい、金銭を支払ってしまいました。
数日してから商品と共に説明書が送られてきました。
ご相談者は、この契約をあやしいと感じ、説明書に記載されている方法に従い、ハガキでクーリングオフの通知をし、商品を返送しました。
しかし、発送後、何日経っても返金もなければ連絡もありません。
そうこうしているうちに、契約した日から1ヶ月以上が経過してしまいました。
というケースです。
契約日から1ヶ月以上経ってから、私のところにご相談に来られたわけです。
相手の業者を訴えるとしても、ハガキでクーリングオフをしているので、その証明が難しいのです。
では、内容証明郵便(配達証明付)を出し直すか?ということになるのですが、契約日から1ヶ月以上が経過している、というわけです。
いわゆる「マルチ商法」とは「連鎖販売契約」というものに該当します。クーリングオフ期間は「20日間」です。
そうしますと、もはやクーリングオフの通知を出し直すことは無意味、ということになるのでしょうか?
いえ、実はそうではなかったのです!
ご相談者からご事情をいろいろとお聴きしますと、契約の申込をした際の申込書の控えや、契約書等を受け取っていない、というのです。
受け取ったのはパンフレットのような説明書と納品書のみ。
これは、いける!と思いましたね!
実は、クーリングオフは「法定書面」を受け取った日から、一定の期間内に発信すれば効力を生じる、とされているんです。
※「法定書面」とは法律で定めた必要事項を記載した書面ですが、一般的には申込書や契約書が該当することが多いです。ただし、申込書や契約書に必要事項が記載されていない、もしくは不足がある、というときには、これら申込書や契約書も法定書面にはなりません。
つまり、マルチ商法の場合、
申込書や契約書などの「法定書面」を受け取った日から20日以内にクーリングオフの発信をすれば、契約解除の効力が生じるわけです。
ご相談者の場合、まだ申込書や契約書などの「法定書面」を受け取っていないのですから、20日の期間は進行せず、「法定書面」を受け取るまでは、いつでもクーリングオフによる解除が可能、という状況だったのです。
すぐに私が代理人となり、内容証明郵便(配達証明付)でクーリングオフ通知を送りました。
その際、
すでに普通郵便で通知を送っているが対応してもらっていないこと、
法定書面を受領していないのでクーリングオフ期間は進行していないこと、
速やかに対応しない場合には、法的措置をとること、
などを追記しました。
送付して1週間程してから、相手方業者より返金があり、
無事終了。
一件落着、というわけでした。
つまり、一見すると「もうクーリングオフの要件を満たしていないから無理かな?」という場合でも、よくよく調べてみると、クーリングオフが可能、というケースもままあるわけです。
困った際には、専門家に相談されることをお勧めします。
是非、無料法律相談等を活用してみて下さい。
というわけで、以上、
クーリングオフは、ハガキでもOK?
ハガキがダメなら簡易書留?
いえ、どっちもおススメできません!!
でした!
クーリングオフをする際には、
是非思い出してください~!
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以上、ここまでお読みいただきまして、
本当にありがとうございました!