東京・調布から45分! 絶景・神秘の島「神津島」に行ってきました~!
みなさん、こんにちは~!国分坂です。
いやあ、暑い日が続きますね。
さて私、先日「神津島(こうづしま)」に仕事で行ってきました!
ちょっとご報告させて頂きますね!
今回は「まち歩き」の夏休み拡大版です!
神津島(こうづしま)とは
神津島は、東京湾の下に位置する「伊豆七島」の一つに数えられる島です。
「伊豆七島」とは、伊豆大島・利島(としま)・新島(にいじま)・神津島(こうづしま)・三宅島(みやけじま)・御蔵島(みくらじま)・八丈島(はじじょうじま)の七島をいいます。
(なお、新島と神津島の間にある式根島(しきねじま)や、八丈島の南にある青ヶ島は、「伊豆七島」の呼称のなかに含まれておりません。)
神津島の人口は約1900人。
漁業が盛んで「キンメダイ」「伊勢エビ」などが、よく獲れるそうです。
役場の方に聞いたところ、「タカベ」というアジのような魚もとれるそうで、これがもう「絶品」とか。
ただ、夏は脂がのっていて焼いても刺身でも最高!なんだそうですが、旬を過ぎると脂がのっておらず「全然うまくない!」のだそうです。
私は食べる機会が無かったのですが、夏に「タカベ」を見つけたら、是非食べてみて下さい!
あとは「赤イカ」。港のすぐ近くでも釣れるそうで、夕暮れになると船待ちの観光客がお土産代わりに釣っていくのだとか。
釣るのに夢中で船に乗れず港近くの民宿で泊まることに、なんてこともよくあるみたいですよ~と、役場の方がおっしゃっていました。獲れたてを刺身で頂くと最高にうまい!のだそうです!
港(神津港)のすぐ近くが集落で、ほぼこの集落にお店・民宿・民家が集まっています。海水浴場も港のすぐ近くに「前浜」があるので、とても便利です。
島の反対側の「多幸湾」にも港があるため、西風が強い時は「多幸湾」、東風が強い時は「神津港」に船が着くそうです。(リスク分散ができているのですね!)
そして島の南の端に「神津島空港」があります。
滑走路が東西に走っているので、やはり西風が吹いても東風が吹いても、飛ぶ(下りる)方向を変えることで利用可能になっているのだとか。(でも、北風・南風が強いときは横風となってしまうので無理なのだそうです。その場合、飛行機は飛びませんし、下りられません・・)
出発は「調布飛行場」から
さて、東京の西に「調布飛行場」という、とてもこじんまりとした可愛らしい飛行場があります。
そこから、伊豆大島・新島・神津島・三宅島行の飛行機便が、飛んでいます。
「神津島行」は一日2便。
調布から神津島まで45分。
電車で調布から東京までが40分程ですから、なんだかすごいです。
45分で絶海の離島にたどり着く!
ロマンではありませんか!?
【調布飛行場】
手前にとまっている飛行機【ドルニエ228-212NG】が、我々を神津島へと送り込んでくれます!
(ドイツのドルニエ社が制作した飛行機なんだそうです。「短距離離着陸性能」に優れた双発旅客機なんだとか。へえ~。飛行機のことは全然分からないのですが、「日本製じゃないんだ~」と思いました。「車大国ニッポン」といわれていましたが、飛行機はまだまだダメなんですかねえ?)
なんとも可愛らしい「出発ロービー」です。ここで荷物を預けて、「体重」を申告します。小さな飛行機なのでバランスをとる必要があり、「体重」で座席が決まるのですね。
(カップルや新婚の皆さん!お相手に体重を秘匿したいときには、ご注意を!)
では、出発です!
この機体で出発!
・・・そして出発から45分で「神津島」に到着!
(飛行中はスマホの電源を切らなくてはならず、カメラはカバンに入れて預けてしまった為、道中の写真が撮れませんでした。面目次第もありません・・)
滑走路が一本だけの、こじんまりとした神津島空港。
今回、私は離島相談員として神津島に派遣されたのですが、村役場の方が空港にお迎えに来て下さり、会場の「生きがい健康センター」まで、連れて行ってくれました。
(なお、神津島空港は集落から車で10分程度ですが、道中かなりアップダウンのある道となります。神津島で宿泊される場合は、宿泊先の民宿の方が送迎してくれるはずですので、是非相談してみて下さい。)
【集落にある「生きがい健康センター」】
法律相談を実施させて頂いた「生きがい健康センター」。
集落のなか、村役場のとなりにある建物です。
・・いや、特になんでもない建物なのですが、奥の方を見て下さい、奥の方を。
とんでもなく美しい海が、見えませんか?・・車の奥。
海、超綺麗~!!
仕事ほっぽらかして入りたい~!!
(うそうそ。ちゃんと仕事しましたよ~)
お昼休みに、ちょこっとだけ「前浜」を覗いてみました。
村役場や「生きがい健康センター」がある集落の目の前に広がる海水浴場なのですが、透明度も高くとても綺麗です!
【前浜にあるモニュメント】
「前浜」にモニュメントがありましたよ。
なんだか国造りの神話にでも出てきそうな服装をした者たちの像が並んでます。
ひとりは眠りこけている様子。
なんだか、とても気になります。
おや?下に説明文のようなのがありました。
「伝説・水配神話とモニュメント:
その昔、伊豆諸島の中心である神津島の天上山に、島々の神々が集まり会議をしました。一番大切な会議は、生命の源である「水」をどのように分配するかでしたが、そこで次の日の朝、先着順に分けることになりました。
いよいよ朝になり、一番早く着いたのは御蔵島の神様でした。
御蔵島は最も多くの分配を受け、次は新島、三番目は八丈島、四番目は三宅島、五番目は大島でした。
こうして水は次々と配られ、最後に利島の神様がやってきたときには、水はほとんど残っていませんでした。
それをみた利島の神様は怒り、わずかに残った水に飛び込んで暴れまわりました。
この水が四方八方に飛び散り、神津島では至るところに水が湧き出るようになった、といわれています。」
なるほど。
眠りこけているのは利島(としま)の神様なんですね。
この神話は、それぞれの島の水資源の豊かさを示しているようです。
村役場の方に聞いたのですが、神津島はとても水の豊かな島なのだそうです。
天上山を筆頭に山々を有し、大きな川が無いために、雨が地中に溜まるため、湧き水がとても豊富なのだそうです。
なお、神津島はその昔、事代主命(ことしろぬしのみこと)が島造りのために、神々を集め相談をする拠点としたのだそうです。
神々が集まる島なので「神集島」、それが「神津島」に転じたそうです。
太古の神話に由来する神秘の島、なのですね。
閑話休題。
さて、お昼休みです。
お昼ご飯を食べに行きましょう!
前浜のすぐ近く、神津港に面した「まっちゃーれセンター」で、お昼ご飯をいただきましょう。
【まっちゃーれセンターでお昼ご飯】
「漬け丼」を頂きました。
あしたばの天ぷら、ところてん、小鉢2種と魚の吸い物がついて1000円。
漬けは、「カンパチ」の漬けです。
どれも素朴な味で旅情を誘います。
漬け丼以外には、刺身定食・金目の煮魚定食・魚カレー・しょうが焼き定食があり、どれも1000円。
(本当は神津島名産の「金目の煮付」が食べたかったのですが、休み時間が限られているため涙を飲んでパス。ささっと食べられそうな漬け丼を選びました。しかし、この選択が正しかったことが、後に判明します。)
3時前に相談会が終了したので、村役場の方が島内を車で案内してくれました。
神津島の地図。
左下の「くびれ」あたりが集落です。
村役場の方が、まずは集落から北の方へと、車を走らせてくれました。
【赤崎遊歩道】
集落から北上していくと「赤崎遊歩道」があります。
ここは「飛び込み」の名所なんだそうですよ!
岩場の入り江のようなところに遊歩道が設置されています。
飛び込み台が設置されていて、透明度の高い水にドボンと飛び込めるようです。
うわあ。結構高い!大丈夫?
小学校低学年くらいの男の子が、飛び込もうかやめようか、悩んでいたりして。
一生モノの、「夏の思い出」になりそうですね。
ここ「赤崎遊歩道」が、いま神津島で最も人気の高いスポットなんだとか。
神津港のある集落と「赤崎遊歩道」との間には「神津島温泉」があります。
富士火山帯に属する温泉で、稀にみる高温湧出の温泉なんだとか。
私は時間がなくて入ることができませんでしたが、海を望む大露天風呂もあるそうです。
夕日を眺めながらの温泉。いつか入りたいものです。
【赤崎トンネル手前から新島を望む】
「赤崎遊歩道」から少し行くと「赤崎トンネル」があるのですが、道はトンネルの手前で終わっています。
島内周遊道路を作ろうと計画したそうなのですが、工事困難な崖地が多く、崩落も多いため、現状諦めているのだそうです。
そのため道はトンネル手前で終了。
そして、行き止まりとなる「赤崎トンネル」の手前から、新島が望めます。
写真には撮れませんでしたが、新島の左側には式根島もみえました。
なんとも素晴らしい景色でした。
(冬場は天気が良いと富士山まで見えるそうです。)
【多幸湾と天上山】
島の東側の、もうひとつ港「多幸湾」へ。
天上山が多幸湾に一部流れ込んでいます。雄大な景色です。
天上山は神津島の最高峰。
572メートルの山ですが、数値以上に壮大に見えます。
山頂にかかる雲が、実際以上の標高を演出しているのかもしれません。
雲がかかることが多いようですが、晴れた日に山頂まで登ると、伊豆諸島はもちろん、伊豆半島までも望めるそうです。
山頂までは不動池や千代池、白砂の砂漠地帯など、変化に富む景観を楽しむことができるそうですよ。
港から登りはじめても、往復4~5時間で制覇できるそうです。
六合目まで車でいってしまえば、山頂まで往復1時間半くらいのようです。
別名「黒潮に浮かぶ展望台」と呼ばれる天上山。
次回は登ってみたいものです。
【ゲストハウスのら】
さて、島内一周観光を終え、役所の方に宿まで送っていただきました。
宿泊地は「ゲストハウスのら」です。
夕食・朝食付きで一泊8000円。
集落と空港の間にある宿です。
上図、左上の「青い丸」で囲ったあたりが集落です。
集落の右下、「赤丸」の辺りが「ゲストハウスのら」です。
「ゲストハウスのら」の下(南)の「星印の7」は「三浦展望台」。
その「三浦湾展望台」を更に進むと「神津島空港」があります。
一ヶ月前に宿の予約を取ろうといろいろな民宿に連絡したのですが、集落にある民宿は、すでにどこも皆いっぱい。
8月上旬からお盆くらいまでは、神津島のハイシーズンらしく、宿はすぐ満室になってしまうようです。
ここ「ゲストハウスのら」は、集落から離れていることもあり、無事に予約できました。
(集落の宿がいっぱいの場合には、こちらに連絡してみると良いかもしれません。案外空いているかも?)
私は役場の方が空港まで迎えに来てくれましたが、お願いすれば宿のおかみさんが送迎してくれます。
(車ですと、空港から「ゲストハウスのら」まで5分程、「ゲストハウスのら」から集落まで5分程です。歩きの場合、「ゲストハウスのら」から集落までは下り坂のため、20分強でしょうか。しかし集落から「ゲストハウスのら」までは上り坂となるため、徒歩30分以上かかるかもしれません。)
さて、夕方4時過ぎに宿についたので、お風呂と夕食まで、少し時間があります。
ちょっと散歩にでも行きましょう~
「ゲストハウスのら」のすぐ近くに「秩父山」山頂までの参道がありました。
【秩父山入り口】
山の中に入っていく、細長い道。
私は「細い道」に目がないのです。
ついつい進んでしまいました。
木のトンネルのような細い道を進んでいきます。
これだけで、もうワクワクです。
木の感じがなんとなく南国風。
石についている苔やシダ植物が綺麗です。
途中、見晴らしの良い峠のようなところに出ました。
正面は天上山。
雲に掛かっていて、見事に上部が消えています。
なんだが、勇壮な感じです。
(とても572メートル程度の山には、見えないんですよね~)
さらに小路を進みます。
暑くて汗びっしょり。
と、見晴らしの良い場所に出ました。
集落が一望できます。
先の方が「神津港」ですね。
素朴なお地蔵さんが祀られていました。
【秩父三十四観音霊場】
埼玉県秩父市等にある「秩父三十四観音霊場」を模してつくられた霊場だそうです。
島民の手による観音信仰の場だったようですね。
椿の葉を札に見立て、お堂にその葉を収めたそうです。
案内板には「本島では、死者があったとき葬式を済ませるとすぐ親戚を始め友人知人が必ずその日のうちに登山して、三十四札所にお詣りすることになっている」とあります。
民間信仰の場なんですね。現在も続いているのでしょうか?
私は駆け上がるようにして登り、ざざっと下ってきたため、往復40分弱でしたが、じっくりゆっくりと歩くのであれば、できれば往復一時間以上、かけた方がよさそうです。
なお、山頂から更に進むと、三浦湾展望台の方に下ることができるようです。
詳細は、下記の「秩父堂コースマップ」をご参照ください。
【秩父堂コースマップ】
https://kozushima.com/wp/wp-content/themes/kouzushima/kozu100kannon/img/chichibudo/map.pdf
【三浦湾】
汗もかいたし歩いたしで、ぶらぶらしながら「ゲストハウスのら」に戻りました。
「ゲストハウスのら」の目の前は、三浦湾の美しい景色が望めます。
【夕食・金目の煮付けなど】
お風呂で汗を流したら、夕食です。
わあ!立派な金目の煮付けです!
(お昼ご飯のとき、「金目の煮付け定食」にせず大正解!)
焼きナスと豆腐とトマトとししとう。
上はピーマンの肉詰めですね。
明日葉とカボチャの天ぷら。
赤イカの刺身とカンパチの漬け。
貝は島の磯で採れたものだそうです。
どれも美味しい。
そして神津島名物のトコロテンも付きました。
トコロテンの素となる天草は、神津島産が最上級なんだとか。
味噌汁には「カメノテ」と呼ばれる貝が入っておりました。
(「カメノテ」。味は微妙ですが、旅情を感じさせてくれました。)
しかし、なんといっても「金目の煮付け」が美味しかったですね。
完食しましたが、もう、おなかいっぱい・・・
【不思議で奇妙な体験をしたお話】
さて、お腹もいっぱいになり、ちょっと部屋でゴロリと寝っ転がったら、うたたねをしてしまいまして。目が覚めると夜10時過ぎ。
宿のおかみさんに一声かけて、夜のお散歩に出かけることにしたのです。
孤島における夜空の星を、眺めたかったのですね。
その夜のお散歩で、「ちょっと不思議で奇妙な体験」をしたのです。
いやいや、残念ながら「怪談話」といったたぐいのものでは、ないのですがね。
宿から出て、見上げますと、もう満天の星空です。
宿から徒歩10~15分程で「三浦展望台」に着くと聞いていたので、行ってみることにしました。
前出の地図ですが、「赤丸」の辺りが「ゲストハウスのら」、「ゲストハウスのら」の下(南)の「星印の7」が「三浦展望台」ですね。
徒歩で10~15分。
「ゲストハウスのら」から「三浦湾展望台」に続く道の右手には、民間信仰の場、秩父山が横たわります。
さて、星を眺めながら、私は「三浦湾展望台」目指して歩き出しました。
宿の傍には街灯がぽつんぽつんとありましたが、少し歩くと街灯はなくなり、あたりは真っ暗です。
空は一面の星。
その星空を切り取るように、黒い山々がみえます。
あの秩父山をはじめとする山々でしょうか。
海がある方を眺めると、おそらく三宅島と御蔵島でしょうか、遠くに明かりがみえます。
道路を歩いていくのですが、ぼんやりとセンターラインがみえます。
辺りには、街灯その他の明かりが全くありませんので、ぼんやりとしかセンターラインは見えません。道路脇も闇にぼやけ、端がどこまであるのかわかりません。
なので、ぼんやり見えるセンターラインを頼りに、私は道を進みました。
車は来ません。
もちろん、私以外に人っ子一人、だーれも歩いておりません。
それはそうでしょう。
夜の十時過ぎ、民家離れた島の外れですからね。
ただひとり、私は暗闇の中をすたすたと歩きます。
星降る夜空と、ぼんやり見える黒い山を眺めながら、私は道を進みました。
なんて美しいのだろう、そう思いながら歩いていましたが、どうにも胸が息苦しい。
そう、妙に息苦しいのです。
なんだろう?
そう思っていたら、今度は二の腕辺りが、ぞわぞわっと鳥肌立ちます。
え?これは一体、なんなのだ?
ぼんやりほのかに見えるセンターラインをたどりながら、真っ暗な山道をただ歩いているのですが、なんとなく胸が苦しくなり、腕が背中がぞわぞわするのです。
え?
・・もしかして、私は「恐怖」を感じているのかしらん?
たしかに、あたりは真っ暗です。
センターラインがなければ、水平感覚を失うくらいの闇。
都会ではまず味わうことのできない、闇。
道の右側は山。民間信仰の場の秩父山です。
道の左側は崖。その先は海。
聞こえるのは虫の声と、たまにトカゲでしょうか、ガサガサっとなにかが草むらを進む音だけです。
なるほど。
このシチュエーションは、一般的には「恐い」シチュエーションなのかもしれません。
でも、私ですよ?
暗闇が好きで、お化けが好きで、お化けよりも星空や自然が好きな私が、 こんなにも美しく詩的なシチュエーションで「恐怖」など感じるのかしらん?
私は歩きながら、しばしそう考えました。
しかし、やはり胸はどきどきしています。
一体なんなのだろう?私は少し驚きました。
・・そうか、私などでも、やはり自然のなかの暗闇に包まれると、「恐怖」を感じたりするのかもしれない。
そうか、私は怖いのだ。
そうだ、怖いのだ!
そう思うと、余計に胸はどきどきし、腕に鳥肌が立ちます。
そんな、遥か前に見失ったものをふと発見したような、甘美で幽遠な趣きに包まれたのです。
闇は闇でしかありませんが、その闇になにかを感じたくなる感性が、私のなかでむくむくと芽生えてきたのでしょう。
葬儀の日、死者とお別れした者達が必ず上るという秩父山。
板子一枚下は地獄とうたわれる海。
遥か昔より、逆賊の名を着せられた者たちが流れ着いた島。
たしかに「なにかが漂う」というのであれば、この場こそがふさわしいとさえ思われる、闇に続く道。
私は、いっとき、そんな思いに囚われたのです。
・・奇妙な体験はほんの数分でした。
進む先に、今までにない空間を感知しました。
暗闇の中、左手にどうやら駐車場らしき、広場があります。
明かりがありません為、はっきりは分からないのですが、おそらく「三浦湾展望台」に着いたのでしょう。
私は立ち止まり、海がある方向に向きました。
遠くに明かりが見えます。おそらく、三宅島と御蔵島。
いつの間にか、胸のどきどきは消えていました。
腕の鳥肌も消えていました。
それに気づくと同時に、私を包んでいた「恐怖」も、きれいさっぱりと、消えていたのです。
帰り道、同じ闇の中を進みましたが、今度は不思議と恐怖を感じません。
胸のどきどきはきれいさっぱりとなくなり、鳥肌も立ちません。
少しがっかりしながら、でもどこかでホッとしながら、星空の下、私は宿に戻ったのでした。
・・さて、この「不思議で奇妙な体験」は、翌朝、「種明かし」がなされます。
翌日、私は朝食前に散歩に出ました。
この水色の建物が「ゲストハウスのら」です。
「ゲストハウスのら」の守り神?
可愛らしいシーザーといった感じですね。
さて、昨晩同様、三浦湾沿いを歩きます。
朝日の中を「三浦湾展望台」まで歩いてみよう、というわけです。
おや?海の奥になにか見えますよ。
【海の向こうの三宅島】
うっすらと、島影が見えますね。
海の向こうに見えるのは、三宅島です。
写真には写りませんでしたが、三宅島の右奥には御蔵島も望めました。
(冬場、運がよければ八丈島も見えることがあるそうです。)
やはり、昨晩海の方角に見えていた明かりは、三宅島と御蔵島ですね。
「まちの灯」とは凄いものだなあ、などと思いながら、私は道を進みました。
そして、ふと、あることに気が付いたのです。
ゆらゆらと進む「上り坂」。
昨晩は、水平感覚すら失いかねない暗闇のなかを進んでいたため、「上り坂」がずっと続いていたことも分かっていませんでした。
汗が出てきます。朝日のせいばかりではありません。緩いながらもずっと続くこの「上り坂」のお陰で、もう背中は汗だくです。
・・これだ。
私は気が付きました。
ずっと続く緩やかな「上り坂」。
水平感覚すら失ってしまう「暗闇」。
これが、私に「恐怖」を与えた正体だったのです。
昨晩の私は、「三浦湾展望台」へと続くこの道を、暗闇のなか歩きました。
水平感覚すら失うような暗闇のなかですから、上り坂であるか下り坂であるかも分からず、普通の道を歩くように、私はさくさくと歩いたのです。
ところが、緩いながらもずっと続く「上り坂」です。
当然、体の運動量は増え、心臓は血流を増やそうと頑張ります。
結果、私の胸はどきどきします。
明るいなかで上り坂の最中に胸がどきどきしたとしても、それは運動量増加に伴う当然の作用ですから、別段気にも留めないでしょう。
しかし、暗闇の中、急に胸がどきどきし始めた私の脳は、過敏に反応します。
ところが、視覚情報では何も得ることができません。
脳は混乱したのでしょう、心臓の活動が活発化した原因が分からなかったのです。
そこで脳は「暗闇」が原因ではないか、と判断したのではないでしょうか。
つまり、「暗闇」+「心拍量増加」=「恐怖」という図式を考えたのでしょう。
私の脳は、「暗闇」が「恐い」から、「心拍数が増加した」のだ、と結論付けたのだと思われます。
脳は「恐怖」を感じたこと受け、更に皮膚神経に警戒伝達を出し、結果、鳥肌まで立ち始めたのでしょう。
その段になって、意識としての私は、胸のどきどき、鳥肌という身体状況を察知し、これは「恐怖」を感じているためかしらん?と、結論付けるに至ったわけです。
つまり、昨晩の「不思議で奇妙な体験」は、私の脳が暗闇にだまされ坂道を認識できなかったことから発生した「恐怖」であった、と推論できるのです。
たしかに、昔から「坂道の怪」といったお話は多いのですね。
ひょっとしたら、私はこの「坂道の怪」を科学的に解き明かしてしまったのかも!なんてことを思いながら坂道を進むと、もう「三浦湾展望台」に到着です。
しかし、「山路を登りながらこう考えた」内容が「お化け話」とは、漱石先生に哂われそうですよ・・
【 三浦湾展望台】
駐車場の下、とてもこじんまりとしたスペースですが、展望台があります。
ここから、美しい三浦湾が一望できます。
なお、「三浦湾」は絶好のダイビングスポットなのだそうですよ。
神津島から三宅島までは32キロ、御蔵島までは57キロ、八丈島までは130キロとあります。
三宅島まで32キロかあ。泳いで渡るのは無理ですねえ。
三浦湾展望台から 天上山の雄姿が望めます。
素晴らしい眺めです。
天上山の先、右側に延びるのが砂糠崎ですが、岩肌が真っ黒になっている部分があります。これは「黒曜石」の層なのだそうで、これだけ大規模なものは国内でも珍しいのだとか。
神津島の黒曜石は、古代、石器の材料として流通していたようで、南関東の遺跡で発見されることがあるそうです。
凄いですねえ。古代のロマンです。
(昔の「航海技術」「海運力」って、なんだか想像を絶しますよね。)
【朝食・金目の干物など】
さて、散歩から戻ってきて朝食です。
メインは金目の干物。これ、美味しい。
またもや、おなか一杯、食べてしまいました・・
【前浜】
11時半頃の飛行機のため、時間があります。
宿のおかみさんに集落まで車で送ってもらいました。
上の写真は、朝9時頃の「前浜」です。
集落の目の前にある海水浴場ですが、とても水が綺麗い。
泳ぎたいなあ、とも思いましたが、タオルすら用意していなかったため断念。
【夏の神津島のおススメ時期】
ライフセーバーのお兄さんに聞きましたが、8月中旬、お盆を過ぎる頃からクラゲが出始めるのだそうです。
なかには猛毒を持つ「カツオノエボシ」も出没するとか。
八月頭からお盆まで、なかなか宿が取れない神津島ですが、お盆を過ぎると急に宿も空くそうです。
でも、海に入る際は、くれぐれもクラゲには注意が必要ですね。
ライフセーバーのお兄さんいわく、「八月上旬からお盆までは宿がいっぱいだし、お盆以降はクラゲが出ることがあるので、一番のおススメは7月下旬ですね。宿も空いてるし飛行機や船も予約とれるし。台風もあまり来ないし、クラゲも出ませんから最高ですよ」とのこと。
なるほど~。
7月に夏休みが取れそうな場合は、一考の価値ありですね。
【 物忌奈命神社】
前浜から徒歩5~6分にある「物忌奈命神社」を訪れました。
「物忌奈命神社」。
名前からして、なんとも興味深い神社ですよね。
曰くのある、古い神社だと思います。
島の規模からすれば、かなり立派な境内ではないでしょうか。
南国風の木々が参道を覆います。
門をくぐり、本殿へ。
こじんまりとした本殿ですが、南国風の素敵な建物です。
説明文を読むと、祭神「物忌奈命」(ものいみなのみこと)は「事代主命」(ことしろぬしのみこと)の嫡子、とあります。
え! 「事代主」?
「事代主」といえば、出雲の国譲り神話に登場する神様ですよね。
【物忌奈命(ものいみなのみこと)と神津島のルーツ?】
「事代主」は「大国主命」の子で、出雲に「建御雷命」らが来て国譲りを迫った際、国譲りを承知し、代わりに自らは天ノ逆手を打ち入水して隠れた(果てた)とされる神様ですね。
その「事代主」の嫡子が、ここ神津島に祀られているとは!
「事代主」の弟である「建御名方神」は、「事代主」の入水後、「建御雷」と争い敗れて、諏訪湖まで逃げて、諏訪大社の祭神として祀られますが、なんと、「事代主」の嫡子は神津島ですか!
あ、そういえば、「神津島」は「事代主」が島造りのために神々を集めた場所「神集島」が転じたもの、と云われてましたね。
島の名前が「事代主」に関係しているのだとしたら、かなり古くから「事代主」との繋がりが伺えますよね。
「歴史的事実」は取り敢えずとして、「民俗学的テーマ」としては、とても面白く興味深いですね。
「物忌奈命」を祀る神津島のひとびとは、自分たちのルーツを出雲の「事代主」に求め、出雲から逃れ、やがて神津島に達した、という伝承を保ってきたのでしょうか?
もしもそうだとすると、神津島をはじめとする伊豆諸島の歴史・民俗を考えるためのヒントが、ここ「物忌奈命神社」にあるのかもしれません。
やっぱり、神津島はロマンの島ですねえ。
こじんまりとしてますが、なかなか素敵な本殿。
先程の「物忌奈命の逃避行秘話?」を考えると、この本殿の「小ささ」にも、なにか「意味」を感じてしまいそうです。
(ちなみに、出雲大社の「大国主」は、入口からみると横向きに祀られていますね。本殿建物は南に向いているのに、祭神「大国主」は西を向いているのです。これにも当然ながら「意味」があり、歴史・民俗学的テーマとなるわけですね。)
屋根がなんとなく「唐風」ですね。
どの様な歴史を辿ったのでしょうか。
境内には公孫樹(いちょう)が沢山植えられていました。
御神木のようです。
イチョウをご神木とする神社は、日本全国各地にみられるそうですが、ここ神津島もそうなのですね。
なお、「物忌奈命神社」の例祭は、8月1日・2日(7月31日に宵宮)。
8月2日の午後には境内で「かつお釣り行事」が執り行われるそうです。
さて、短い時間でしたが神津島を満喫できました!
東京調布の空港に戻りましょう。
出発30分前に搭乗手続きを済ませ、体重申告もし、機内に乗り込みます。
とっても狭い機内。
神津島空港の滑走路です(1本だけ)。
行きではカメラをカバンにしまったまま預けてしまいましたが、今回はちゃんと手元に用意!
さあ、出発です!
プロペラが猛烈に回転し、機体がぶるぶると震えます。
ジェットエンジンよりも、なんか良いですねえ。
さよなら、神津島!
素敵な自然と、神秘に満ちた神津島、また機会があればじっくり訪れますよ!
眼下に船が行きます。
【神津島までのルート】
〈飛行機〉
調布~:45分。
〈高速ジェット船〉
東京・竹芝桟橋~:3時間45分
静岡・熱海港~ :1時間30分
〈大型船〉
東京・竹芝桟橋~:11時間55分
横浜・大さん橋~:10時間25分
静岡・下田港~ :2時間20分
三浦半島でしょうか。
横浜の街ですね。
奥の方に建物が乱立しているのが東京でしょうね。
・・相変わらず、空気が濁ってますねえ。
おっ、調布の空港が見えてきました。
手前の緑は多磨霊園でしょう。
到着~!!
出発時にはかなりこじんまり見えた「調布空港」も、「神津島空港」と比べてしまうとなんとも立派!
(セスナ機が何台も止まっていました。)
一泊二日の「神津島の旅」、いやいや「神津島出張」でしたが、美味しい食事と、貴重な体験も出来て、とっても楽しかったです!(ちゃんと仕事しましたよ~)
皆さんも、如何でしょうか?
機会あれば是非、絶景と神秘を楽しめる「神津島(こうづしま)」を訪れてみては?
夏は「海水浴」に「金目」に「タカベ」、冬は「イセエビ」が楽しめそうですよ。
春秋は登山。
また、通年で「民俗学的思索」も楽しめそうです!
というわけで、「東京から45分!絶景・神秘の島「神津島」に行ってきました~!」でした!
ここまでお付き合いを頂きまして、みなさま、誠にありがとうございました!