「半島統一」のために必要だった「反日政策」と「日本企業への圧力」?合意不成立で今後はどうなる?
こんにちは、国分坂です。
2月28日、ハノイでの米朝会談は、合意不成立で終了しましたね。
北朝鮮側は「制裁解除」を、アメリカ側は「非核化」を求めての対談でしたが、意見がまとまらずに不成立で終了となりました。
さて、この不成立は、各国にとってどのような影響を与えるのでしょうか?
合意不成立による各国への影響
・北朝鮮は
北朝鮮としては、制裁が解除されないことで、今後更に厳しい経済状態に追い込まれることになるでしょう。
北朝鮮政府がおそれるのは、経済困窮による国民の生活破綻もあるでしょうが、なにより、やむにやまれぬ民衆蜂起や軍部のクーデターが恐ろしいのではないでしょうか?
北朝鮮側としては、今回の合意不成立は、非常に残念な、臍を噛む様な結果だったのではないでしょうか。
・アメリカは
一方のアメリカ側はどうでしょう。
追い詰められた北朝鮮が戦争行為に突入する可能性もなくはないでしょうが、それに対する備えは、おそらくアメリカ側は準備万端なのかもしれません。
厄介なのは北朝鮮による核攻撃ですが、報復攻撃であればまだしも、先制攻撃で北朝鮮が核を使用する可能性は低いでしょう。
なぜなら、北朝鮮がアメリカ全土を攻撃できる能力を保有していない限り、北朝鮮は核を使用できないと思われるからです。
仮に北朝鮮が数発の核攻撃をアメリカに対して行えば、その報復で北朝鮮は全土を文字通り廃墟にされてしまいます。そのような「自殺的」先制攻撃を行うことはあり得ない、と考えれるわけです。
(核は、「所持」して「報復可能であること示す」こと自体が、その威力を最大化するものです。闇雲に「使用すること」を前提とする武器ではない、といえます。)
また、アメリカから見て北朝鮮の「市場」としての価値はあまり高くないでしょう。
そのような北朝鮮に対して経済制裁を続行することは、アメリカ側からすれば特段問題にはなりえない、ということになりそうです。
敢えて言えば、トランプ政権にとって、今回の米朝会談が合意不成立であったことが、大統領中間選挙にどのような影響を与えるか、という論点はあるかもしれません。
合意不成立をトランプ大統領への攻撃材料にする可能性は大いにあり得ますが、ただ、前述のとおり、アメリカからすれば北朝鮮問題は「経済問題」としては殆んど影響のない問題です。
むしろ北朝鮮問題は「国防問題」としてアメリカ国内で扱われるでしょう。
そうであれば、トランプ政権が「非核化」を貫く姿勢をとったことは、最悪評価されずとも批判にはなりえない、と見る向きが強いのではないでしょうか。
つまり、アメリカ側としては、今回の合意不成立は少なくともマイナスにはならない、という評価だと思われます。
さて、更に見ていきますと、今回の合意不成立でアメリカ以上に合意不成立を歓迎した国と、北朝鮮同様に残念な思いをした国とがありますね。
日本と、韓国です。
・日本は
日本政府は、中途半端な合意が成立してしまうくらいなら、合意不成立の方が良い、とトランプ政権にも伝えていたそうですね。そのとおりの結果になり、日本政府は安堵しているわけです。
・韓国は
一方、北朝鮮と同様に、今回の米朝会談の合意不成立にがっかりしたのが韓国です。
韓国としては、長年の目標である「半島統一」の第一歩として、今回の米朝会談合意成立を期待していたのだと思います。
韓国は、極東アジアにおいて、経済的にも軍事的にも、非常にやっかいな立場におかれている、と自ら考えているように思われます。
経済的には、長年における日本の君臨と、近年の中国の台頭。日本にも中国にも経済的不安要素は多々ありますが、韓国経済ではとても両者に太刀打ちできません。
また軍事的にも、韓国は、中国、ロシア、日本という強国に挟まれた位置にあります。
そして現在は、北朝鮮という韓国からすれば本来「同胞」であるはずの「臨戦国」と対峙せざるを得ない状態にあります。
そのために、本質的な外患となりうる中国、ロシア、日本に備える余裕がなくなっているのだ、と考えていることでしょう。(日本が本質的な外患なのかどうかは、少なくとも我々日本人にはよく分からないのですが・・)
このような状況において、韓国政府及び韓国国民が「半島統一」を切望するのは、分からなくもありません。
韓国国民5千万人、北朝鮮国民2千5百万人、合わせて7千5百万人強。
日本の人口にはまだまだ及びませんが、臨戦態勢が解かれ、北朝鮮市場が開放され、人的交流が活性化されれば、少なくとも現状よりは韓国経済は良くなるのでは?という期待が韓国国民にはあるのでしょう。
また、韓国政府は「極東のバランサー」という立場を得たい、と以前活動していたようですが、韓国がアメリカの人脈、北朝鮮が中国・ロシアの人脈を有するとしたら、まさしく「極東のバランサー」になり得る、という期待があるのかもしれません。
経済的にも軍事的にもアメリカ一辺倒ではなく、中国陣営、ロシア陣営とも繋がっていたい、と考えた場合、韓国が北朝鮮と手を組み統一を果たす意義は非常に大きい、と考えても不思議ないでしょう。
韓国が考える「統一朝鮮」のための政策
・反日政策
もちろん、統一に至る道は大変でしょうし、仮に統一できたとしても、その後にくるであろう大混乱は、とてつもないものでしょう。
ヨーロッパの雄であった西ドイツと、東陣営の優等生といわれた東ドイツとの統一においてでさえ、かなり長い間混乱を招いたのです。
経済的に万全とはいえない韓国と、破綻寸前の北朝鮮との統一。非常に厳しいものになるのではないでしょうか?
仮に韓国と北朝鮮とが統一し、「統一朝鮮」が誕生した場合、国内では政治体制の違い、経済格差などを理由に、非常に大きな混乱が生じるはずです。
旧国民同士の反目、企業の倒産、大量の失業者。
このような国内情勢の不安定を抱えた場合、歴史的によく使われる手は「国外に関心を向かわせること」ですよね。
そうです。
旧韓国国民、旧北朝鮮国民が、最も一致団結しやすいイデオロギーが「反日」なのです。
しかも、日本は他国と違い、執拗な「反日」活動をしたとしても、戦争行為など大掛かりなことをしてくる可能性はほとんどない、と予想しているはずです。
朝鮮半島の国民をまとめるには、非常に使い勝手の良い「ツール」なのですね。
・日本企業の排斥
「反日」をうまく利用して、なんとか混乱期を耐え抜くことができれば、旧北朝鮮国土を中心に、新たな設備投資、新たな産業育成を行うことができるようになるでしょう。
韓国企業としては、未曽有のチャンス到来です。
このとき、ライバルとなる外国企業の参入はなるべく避けたいものですね。
アメリカ企業や中国企業の参入は、政治的配慮からある程度仕方がないとしても、日本企業の参入は、是非とも防ぎたいことでしょう。
技術力があり、しかもすぐ近くにある日本企業が大挙して旧北朝鮮国土に進出してきたら、韓国企業は太刀打ちできないかもしれません。
これは、どうしても避けなければならないことなのです。
そう、そのための「日本企業の排斥」です。
「統一朝鮮」成立の暁には、「反日」活動により国内情勢を安定させ、統一後の国内産業保護のため「日本企業の排斥」する、この二つがとても重要なのです。
「しかも、できれば早めに手を打ち、その土壌を作っておいた方が良い・・」
そのようなことを韓国政府が考えていたとしたらどうでしょうか?
いわゆる「徴用工問題」、「レーダー照射事件」などなど、ちょっと常軌を逸したような韓国政府の対応の動機が、見えてくるような気がしませんか?
合意不成立となった今後のゆくえ
今回の米朝会談の不成立は、韓国政府からすれば「半島統一」を一歩後退させた、という見方になるのかもしれません。
この場合、韓国政府は今後、どのように行動するのでしょうか?
韓国政府が「米朝会談は破綻的なものとして終了し、しばらくの間、合意成立は難しいであろう」と分析したのであれば、今後、韓国政府は日本との関係修復を考えるかもしれません。
半島統一のための策は時期尚早だったのであり、少なくとも今は、現状の経済状況保全を図るべき、と考える可能性が高いからです。
一方、「今回は合意不成立であったが、また近い将来に米朝会談は合意成立し得る」と判断した場合、韓国政府は今後、更なる反日政策、更なる日本企業の排斥を行う可能性がある、と思われるわけです。
逆に言えば、「韓国政府の日本への対応」を見ていけば、韓国政府が米朝関係をどのように分析しているのかが分かる、といえるわけですね。
では、日本としては、今後どのように対処すべきなのでしょうか?
考えるべきことは、「統一朝鮮」の成立は、日本にとってメリットが大きいのか、それともデメリットが大きいのか、という点でしょう。
「統一朝鮮」が韓国主導で行われ、政治思想体制が民主主義・資本主義体制に移行していけば、少なくとも「市場」としての価値は増大するはずです。
周辺の旧韓国・中国・ロシアの企業よりも技術力と国際的信頼性を保持している日本企業にとっては、今後、魅力的な市場に成長する可能性があります。これは大きなメリットですね。
一方、「統一朝鮮」では、従前とおり、いや、もしかしたらそれ以上に「反日」活動が増大する可能性もあります。
この「反日」とどのように付き合っていくべきか、という問題がデメリットとして出てくるかもしれません。
ただ、大国アメリカと中国とは、「統一朝鮮」を歓迎しない可能性がありますね。
アメリカからすれば中国との直接対決はやはりリスクがありますし、中国からすれば北朝鮮を失うことは非常に大きな損失でしょう。中国はアメリカ以上に、米中直接対峙を避けたいはずですから。
もっとも、現在アメリカと中国とは、すでに貿易問題を中心に直接対決に入っているため、このまま対決姿勢が進行していけば、もはや「北朝鮮という緩衝地帯」が不要になる、という考え方もあり得るかもしれません。
(韓国政府は、それを期待しているのでしょうか?)
なお、ロシアとしても、朝鮮半島が分裂している方が政治的カードを発揮しやすいため、「統一朝鮮」を歓迎しない可能性があります。
しかし、米中で決着がついてしまえば、ロシアもあえて火中の栗を拾いにアメリカと対立することまでは、おそらく考えないでしょう。
そういう意味では、今後の朝鮮半島情勢は、「米中対立のゆくえ」をみていくと、おのずと見えてくる、といえそうです。
中国がアメリカに完全屈服すれば、朝鮮半島は韓国主導で統一される可能性が高いのではないでしょうか?
一方、アメリカが中国に譲歩すれば、朝鮮半島は米中の緩衝地帯として、分裂状態が存続する可能性が高いのではないでしょうか?
つまり、朝鮮半島が統一された場合には、中国の影響力が後退している可能性が高く、日本は「反日」をうまく回避できれば、朝鮮半島への経済活動を増大させることができるのかもしれません。
一方、朝鮮半島の分裂が続くときには、中国の極東支配体制が強まりアメリカの影響力が後退する、という事態になっている可能性があり得ます。
この場合、韓国は中国陣営につく可能性が高いと思われるため、日本としては、経済的にも軍事的にも、非常に難しいかじ取りを取らざるを得なくなるのかもしれません。
すなわち、今後の「米朝会談のゆくえ」「米中対立のゆくえ」は、日本にとっても決して対岸の火ではないのであり、進捗状況をしっかりと見据えながら、対策をとっていく必要があるのかもしれませんね。
みなさんは、如何お考えでしょうか?
以上、米朝会談の合意不成立から読み解く、「半島統一」のために必要だった韓国の「反日政策」と「日本企業への圧力」?合意不成立で今後はどうなる?でした!
ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございました!