『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』遊ぶ生物学への招待
今週のお題「読書の秋」
今回ご紹介するのは、
武村政春 著
『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』
― 遊ぶ生物学への招待 ―
です!
この本を読んだとき、
私、「くやしーいっ!」
て思いましたよ~!
私、「お化け」とか「妖怪」とか大好きで、
そのうち、「お化けと専門知識」とを掛け合わせたお話しをしたい!と思っていたのに!(いつかやりたいですねえ!このブログで~!)
でも、すでに出てました。。
10年以上も前に・・
しかも、生物学・・・
敵わない・・・・・
(敵うわけないでしょっ!)
この本がオモシロイのは、妖怪たちが現れる文献を引用し、それをちゃんと分析した上で、生物学的な知見から、大まじめに解説していくところ!
骨格図や解剖図(もちろん両方とも空想ですが)も丁寧に描かれています。
専門的用語すら用いられてまして。
たとえば、こんな具合です。
(以下、引用)
― 飛頭蛮は、脊索動物門・脊椎動物亜門・哺乳綱・霊長目・ヒト科に含まれる生物で、私たち人間 Homo sapiens と近縁の、 Homo auris-volaticus であると考えられるが、現在ではその系統は絶滅しており、形態などは化石もしくは文献上の記述からしか推測することができない。-
(『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』P19-20引用 )
ー 骨格において飛頭蛮がヒトと異なる最大のポイントは、飛頭蛮では頭頂部の中央付近(外耳孔のやや上部)から、左右一対ずつの「耳翼骨」が飛び出していることである(図3)。これが飛頭蛮の耳翼の基本骨格であり、これを動かすための極度に発達した筋肉が、「大頬骨筋」のすぐ後ろから伸びている(図4下)。-
(『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』P21引用 )
いえ、はっきり言ってよく分かりません「生物学」。
でも、見事だなあ、と感心して読んでしまいます。
大まじめに遊んでいるから、オモシロイ。
なに?「耳翼骨」って!?
著者の武村政春さんは医学博士で研究者のようです。
そして、どうやら妖怪好き。
あ~っ、お会いしてお話し聞きたい!
ぜったい、おもしろいはずですよ!
自分が理解できない専門的なことでも、
その専門分野のことをこよなく愛していて、
一生懸命に語ってくれる方のお話しは、
理解できなくても面白いものです。
「言葉」そのものは頭に入ってこなくても、
なんというんでしょうか、
「情熱」と表現してしまうと陳腐ですが、
「これが面白くて面白くて!」
という「勢い」といいましょうか、
そういうものが伝わってきてしまうんですね。
「感染」しちゃうんですかね?
この本は、まさしく、それです。
武村先生の「オモシロイ!」が
「感染」しちゃう感じです!
『千と千尋の神隠し』の「カオナシ」も出てきます!武村先生に考察されちゃってますよ~!
いかがでしょうか、
たまには「大まじめ」に「遊んで」みませんか?
ろくろ首の首、
なんで伸びるのかな?
「怪物くん」と同じかなあ?
なんて。
ときに「ぷぷっ!」と思わず吹き出してしまうような箇所もありますので、電車の中ではご注意下さい!(あまりにも馬鹿馬鹿しいことが、大まじめに論じられていたりしましてね。)
秋の最後に、
ちょっと変な知的お遊びはどうでしょうか?
以上、
『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』
遊ぶ生物学への招待、
でした!
お付き合い頂き、有り難うございました!