是非オススメしたい!3つの世界の『三国志』!(小説)
【要約:『原点!吉川英治版』、『痛快!北方健三版』、『重厚!宮城谷昌光版』、三つの『三国志』小説をご紹介させて頂きます!】
【この記事の対象(特に読んで欲しいひと):三国志が好きな人/本が好きな人/三国志の小説をまだ読んだことがない人】
三国志。お好きな方、多いのではないでしょうか?
小説、映画や舞台、漫画にゲーム。
三国志、もうすでに一つの「ジャンル」とすら言えそうです。
今回は、この三国志の世界のなかから、
私的に「厳選」した3つの小説を、ご紹介させて頂きます!
≪1.原点! 吉川英治版『三国志』≫
日本における三国志の ”原点” は、
吉川英治作のこの『三国志』である!
といっても過言ではない、と私は思ってます。
私の勝手な想像ですが、
もしも新たな『三国志』作品を作ろうとしたとき、
作者はどうしても、
この吉川英治版『三国志』を意識せざるを得ないだろう、
と思います。
作者は考えるのではないでしょうか?
自分の作品と吉川英治版『三国志』との相違点、差別化、
これをどのように表現しようか、と。
違う史観を発表しようとか、
異なる視点を持たせようとか、
進化版として、更に展開・発展させてみせよう、とか。
いわば「新作三国志」の眼前にそびえ立つ大いなる壁、それが吉川英治版『三国志』といえるのです!
まさしく『三国志』の基本の基本、基礎の基礎が、
そう、吉川英治版『三国志』ナノデス!
いままでゲームでしか三国志を知らないよ~、とか、
漫画だったら読んだことあるけどねえ、という方、
もしも「三国志好き」であるのなら、
是非是非、吉川英治版『三国志』を読んでみてはいかがでしょうか?
ホント、面白いですから!
ながーい小説ではありますが、
非常に読みやすいので、たぶんさくさく読めてしまうと思います。
吉川英治版『三国志』を読んでから、
改めてゲームなどしてみると、
新たな発見や感動が生まれるかもしれませんよ~?
原点! 吉川英治版『三国志』、でっかい自信をもっておススメです~!
≪2.痛快! 北方健三版『三国志』≫
これはね、もう吉川版とは全く違う三国志です。
言ってしまうと「ハードボイルド三国志」!
この作品を選んだことについては、
賛否両論、いろいろご意見はあるかと思いますが、
とにかく、
「『三国志』を痛快に楽しみたい!」
という方にはお奨めです!
北方健三版『三国志』は、
歴史観や政治・戦略的観点を掘り下げるというより、
躍動的な「戦闘」描写に優れている、といえるでしょう。
かなりフィクションっぽいけど、人物の描写もホント魅力的なんですよ。
―政治的才覚はゼロの不器用な男だが、槍を持たせれば一騎当千の豪傑―
そういった男が好きなんでしょうね、北方健三氏は。
そんな北方健三氏の描く三国志の世界は、豪傑たちが痛快に舞い踊ります!
特に、
呂布 字(あざな)は 奉先
この男がかっこいい!
北方健三版『三国志』はサブタイトルに「呂布の物語」と付けたいくらいに、
もう呂布がかっこいい!
大抵の『三国志』では、呂布は悪者、敵役なんですがね。
北方版の呂布は、もうホントにカッコいい男なんですよぉ!
(惚れちゃいますよ、タブンね。)
一味違う『三国志』を楽しみたいという方には、お奨めしたい作品です!
ビジュアル系三国志の世界が好きな方にも、是非おススメ!
(様々ある『三国志』のなかでも、特に女性ファンも多いのが、
この北方健三版『三国志』では?と私は思ったりしてます。
もちろん、男性の方にも超おススメですよ~!)
痛快! 北方健三版『三国志』、私の大好きな一作です!
≪3.重厚!宮城谷昌光版『三国志』≫
これはですねえ、最初に申しておきますと、
一般向けではないかもしれません。
小説というより、もう「専門書」なんですよ。
だってね、最初に登場するのは曹操のおじいちゃんですよ。
しかも、その曹操のおじいちゃんの若かりし頃から物語が始まります。
並みの三国志好きでしかない私からすると、
名前も分からない登場人物がじゃかじゃか出てきます。
ようやく二巻目あたりから、やっと知った名前が出てくる、
といった具合なんです。
でもね、宮城谷昌光版『三国志』は、
三国志の世界を真正面に誠実に描こうとしているのだと思います。
作者の宮城谷昌光さん、本当に真面目な方なんだろうなあ、と。
宮城谷昌光氏といえば、中国の春秋戦国時代の小説を多く書かれていますね。
その宮城谷昌光が、満を持して『三国志』を書く!
歴史小説ファンなら興奮したはずです。
宮城谷昌光氏自身も、どのような「三国志」を描くか、
そうとう悩まれたのではないでしょうか?
そして、もちろん吉川英治版『三国志』を、
相当に意識したことでしょう。
「吉川英治版『三国志』が羅漢中の『三国志演義』を基礎としているなら、
自分は陳寿の史書『三国志』を基礎としよう」、
宮城谷昌光氏はそのようにして『三国志』を描いたように思われます。
ですから「物語」というより「史書」、
つまり歴史書。
専門書ですね。
その文章の堅いこと。ホントに重厚なのです。
でもね、
頑張って頑張って読んでいくと、これが面白くなってくる。
引き込まれはじめたら、もう止まりません。
いままでイメージ的に楽しんでいた三国志の世界が、
歴史的事象を縦軸に、
思想・宗教・風土を横軸に、
立体的に積みあがってくるのです。
そもそも、私たちが知っている、
いわゆる「三国志のキャラクター」って、
劉備、諸葛亮、関羽、張飛、趙雲、曹操、袁紹、公孫瓚、孫堅・・・
といった感じだと思います。
しかし、彼らの活躍時期を考えれば、
「三国時代のキャラクター」というより、
「後漢時代のキャラクター」なんですよね。
なので小説にするならば、
『三国志』というより『後漢英雄伝』とでもしたほうがしっくりくるはず。
にもかかわらず、
どうして『三国志』と題するのか・・?
といったあたりもですね、
宮城谷昌光版『三国志』を読んでいると、
なんだか観えてくるような気がするんですよねえ。(気のせい?)
宮城谷昌光氏は、
三国志を描くために、後漢の時代を丁寧に丁寧に掘り下げるんです。
長いながーい背景事情をきめ細やかに説明してくれるのです。
だから、
一巻目は曹操のおじいちゃんから始まってしまうのですね!
万人受けは、残念ながらしないでしょう。
本を読むのきらい~ というひとには絶対おすすめできません。
ライトなものだけ~ という方にも、ちょっと無理です。
一日で速読~ という方も、やめておいた方が無難です。
しかし、
『三国志』の世界をもっと知りたい。
『三国志』の世界を極めたい。
という方であれば、その入り口は、ここにあります。
重厚! 宮城谷昌光版『三国志』、後世まで読み継いでほしい作品です!
というわけで、
私が勝手に厳選した、
『原点!吉川英治版三国志』、
『痛快!北方健三版三国志』、
『重厚!宮城谷昌光版三国志』、
でした!
お楽しみ頂けましたでしょうか?
ここまで長文お読みいただきまして、
本当にありがとうございました!!