国分坂ブログ

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「債権者保護手続」のこわ~いお話!①(期間の末日が「日曜日」の場合は大変です!)

【要約:期間の末日が日曜日・休日であるときは、期間は日曜日・休日には満了せず、その翌日に満了することになります!債権者保護手続きの場合などに、要注意です!】

 

【この記事の対象(特に読んで欲しいひと):司法書士事務所の人/法務に関わる人/法律に興味がある人】

 

 

 1.債権者保護手続きとは。

債権者保護手続き。

資本減少や合併などをする場合に必要となる手続きです。

 

たとえば資本金の額や資本準備金の額を減少する場合は、

その旨を官報に公告し、

かつ、知れたる債権者に対し格別に催告しなければならない、

とされています(会社法449条)。

なお、減資等を行う会社の登記された公告方法が、

官報公告以外の方法(日刊新聞への公告や電子公告)であり、

その方法でも公告をした場合には、

知れたる債権者への格別の催告は不要、

とされています。(会社法449条3項)

 

・官報公告  +  日刊新聞広告
または

・官報公告  +  電子公告

などですね。

(これをしたときは、各債権者への催告は不要。)

 

さて、

この公告の期間は、1か月以上、とすることが必要です。

(会社法449条2項)

 

つまり、今すぐに減資したい!といってもムリ。

基本的には1か月以上、時間が掛かるのです!

(実際には官報公告の申し込みをして、

掲載日の枠を確保してもらう必要もあるので、

1か月半から2か月程、時間が掛かります。)

 

※「資本準備金の額のみ」を「定時株主総会」で決議する場合で、

減少する額が欠損額を超えないときは、

債権者保護手続は不要になります。(会社法449条1項ただし書)

 

さて、上記は「資本減少」についてですが、

「合併」の債権者保護手続きもほぼ同じですね。

(消滅会社の債権者保護手続き:会社法789条)

(存続会社の債権者保護手続き:会社法799条)

 

資本減少や合併をする場合には、

債権者保護手続きをしなければならず、

その期間は1か月以上必要である

というのが重要ポイントなのですが、

今回お話する「こわ~いお話」とは、

この「1か月」に関してなんです。

 

まず「1か月」という期間の計算方法ですが、

これは民法に定めがあります。

(民法の138条から143条を確認してみてください。)

 

2.期間の計算方法

「1か月」の計算方法としては、

まず民法140条が重要です。

「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、

期間の初日は算入しない。」

いわゆる「初日不算入(しょじつふさんにゅう)」と呼ばれるものですね。

 

つぎに民法141条を見ますと、

「前条(140条)の場合には、

期間はその末日の終了をもって満了する。」

となってます。

 

そして民法の143条。

「①週、月又は年によって期間を定めたときは、

その期間は、暦によって計算する。

②週、月又は年の初めから期間を計算しないときは、

その期間は、最後の週、月又は年において、

その起算日に応当する日の前日に満了する。

ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、

最後の月に応当する日がないときは、

その月の末日に満了する。」

 

・・わかりにくいですよねえ~

そんなときには具体例をあげて考えてみましょう!

たとえば、

「11月20日から1か月」とした場合です。

 

11月20日は「初日」なので、これは算入しません。

そのため、期間の「起算日」は11月21日になります。

そして、その起算日に「応当する日」は12月21日です。

期間は応当する日の「前日」に満了しますから、

「満了する日」は12月20日です。

よって、

「11月20日から1か月」と期間を定めた場合は、

その期間が満了するのは12月20日になる、

ということです。

 

ここまでが、原則。

「こわ~いお話」はこれからなんです~!

 

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3.期間の末日が日曜日等だと伸長する。 

民法142条を見てみましょう。

「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に

規程する休日その他の休日に当たるときは、

その日に取引をしない慣習がある場合に限り、

期間は、その翌日に満了する。」

 

具体例を挙げてみますね!

たとえば、資本金の減少の債権者保護手続きとして、

官報に平成30年11月16日に公告が掲載されたとします。

債権者保護手続きを「1か月間」としたとき、

さて、債権者保護手続きが満了する日はいつでしょう?

という問題です。

 

まず「起算日」を考えます。

平成30年11月16日は初日ということで算入せず、

平成30年11月17日が「起算日」になります。

この起算日に「応当する日」は平成30年12月17日です。
期間は応当する日の「前日」に満了しますから、
「満了する日」は平成30年12月16日、となりますかね。

ところがですよ、カレンダーを見てみましょう。

平成30年12月16日は、日曜日なんです。

すると、平成30年12月16日には満了せず、

その翌日の平成30年12月17日が「満了する日」になるのです。

 

資本金の減少や合併の「効力が発生する日」は、

債権者保護手続きが満了する日の翌日以降でなければなりません。

 

つまり、上記の例でいうと、

平成30年12月16日には債権者保護手続期間は満了せず、

平成30年12月17日に債権者保護手続期間が満了するので、

効力の発生日は、

平成30年12月18日、もしくはそれ以降でなければならないのです!

 

もしもですよ、

平成30年12月16日が日曜日だと気が付かずに、

資本金の減少の効力発生日を平成30年12月17日にしてしまったら、

これはアウトです・・・!(こわ~っ)

 

ですので、期間の計算をする際には、

かならずカレンダーで末日を確認してくださいね!

 

でもまあ、

官報公告や日刊新聞の公告、債権者への格別の催告では、

「・・異議のある債権者は、本公告掲載日の翌日から

一箇月以内にお申し出ください。・・・・」

と記載するケースが多いかと思います。

この場合で、満了日と効力発生日との間に数日の余裕があれば

上記のようなケースでも「事実上問題なし」、

ということになることが多いでしょう。

 

つまり、

平成30年12月16日が日曜日だと気が付かずにいたが、

効力発生日は余裕をもって平成30年12月20日としていた、

といった場合です。

 

満了日を平成30年12月16日だと勘違いしていたが、

本来の満了日は平成30年12月17日だった。

しかし、

効力発生日は、余裕を持たせて数日後にずらしており、

平成30年12月20日に効力発生としていたので、

事実上は問題なし、

ということになるわけですね。

 

これに対して、

もしも公告や催告を、

「・・異議のある債権者は、本公告掲載日の翌日から
平成30年12月16日までにお申し出ください。・・」

としていたら、これは問題です。(こわ~っっ)

本来は平成30年12月17日まで、

債権者保護期間を設けなければならないのですから、

瑕疵のある公告、催告ということになってしまいます。(がーんっ)

 

4.電子公告の場合 

そして、もっとも「こわ~い」のが電子公告です!

電子公告の場合には、

「・・異議のある債権者は、本公告掲載日の翌日から
一箇月以内にお申し出ください。・・・・」

という表記にしていて、

かつ、満了日と効力発生日との間に数日余裕があっても、

アウト!ということになりかねないからです・・(ひぃ~っっ)

 

電子公告の場合、調査会社に

「電子公告調査結果通知」というのを出してもらいます。

これが法務局への添付書類になるわけですが、

この「電子公告調査結果通知」には、

「公告掲載期間」が記載されるのです。

さらに、掲載時間調査結果の一覧が付され、

「満了日の23時59分」までの調査結果が記載されます。

 

つまり、

平成30年12月16日が日曜日だと気が付かずにいたが、
効力発生日は余裕をもって平成30年12月20日としていた、
といった場合で、

電子公告による債権者保護公告をした、というケースですが、

 

このとき、電子公告調査会社に公告期間を、

「平成30年11月17日から平成30年12月16日」

と伝えて調査依頼すると、

平成30年12月16日(日曜日)の

23時59分までしか調査されないのです。(まあ、当然ながら)

よって、

債権者保護手続きの最終日まるまる1日分の調査報告がない!

という問題が生じてしまうのです・・

 

なので、

くれぐれも「期間の末日」はカレンダーで確認!

することが重要です。

 

※ちなみに、電子公告の場合には、

午前ゼロ時から始まるので、初日を算入しても構いません。

(民法140条のただし書き)

 

資本金の減少や合併手続きでは、

とにかく債権者保護手続きがポイントです。

そして、債権者保護手続きでは期間の計算がポイントになります。

 

5.まとめ(私の体験談も含めて・・) 

繰り返しになりますが、

とにかく!

・期間の末日はカレンダーで曜日を確認する(指さし声出し確認~!)

・できれば、期間の末日と効力発生日との間に数日余裕を持たせる

これを実践頂ければ、

こわいことにはなりません!

 

ええ、

私はこわ~いことになりかけたんです。

もうホント、終わるかと思いました・・

 

官報と電子公告に

「・・異議のある債権者は、本公告掲載日の翌日から
一箇月以内にお申し出ください。・・・・」

と掲載したんです。

満了日(と思ってた日)と効力発生日との間にも

3日程余裕がありました。

しかし、満了日だと思ってた日が日曜日!だったんです。

掲載日の一週間後くらいに気が付きまして。

効力発生日に余裕を持たせていたので、

官報公告の方は特に問題なかったのですが、

そう、問題は電子公告。

調査期間が1日足りない!

すぐに会社のご担当者に電話して、

電子公告調査会社に連絡してもらいました。

 

結果的には、

調査会社の方で調査期間を伸長してくれ、

公告掲載期間も修正してくれました。

(あの日の空の青さを、私は生涯忘れません・・)

 

実は、

夜寝る前にふと寝室にあるカレンダーが目に入り、

あれ?

っと気が付いたんです。

あれ・・・・

ひょっとして、満了日、日曜・・?・・・!!

もちろん、その日は一睡もできませんでした・・!

明け方すぐに事務所に出て、

ご担当者が出勤する時間まで辛抱して待ち、

時報とともに電話しましたね。

 

あ~っ、こわかった!!

皆さんは、如何でしたでしょうか?

(えっ、こわくなかった?全然?ホント?・・)

 

以上、私的にはホント~に怖かったお話っ、

期間の末日が日曜日!

でしたっ!

 

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 ここまで長々とお読みいただきまして、

本当にありがとうございました!

 

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