国分坂ブログ

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「債権者保護手続」のこわ~いお話!③(会計監査人設置会社の場合の注意点!)

【要約:会計監査人設置会社が決算日後定時総会までの間に債権者保護手続きを行う場合、「今年度」の最終貸借対照表情報を公告に載せなくてはならない場合があります!要注意です!】

 

【この記事の対象(特に読んで欲しいひと):司法書士事務所の人/法務に関わる人/法律に興味がある人】

 

 債権者保護手続き。

そうです、資本減少や合併などをする場合に必要となる手続きです。

 

 

  

1.会計監査人設置会社の計算書類の承認

 会計監査人が設置されていない会社の場合、

計算書類は、定時株主総会での承認を受ける必要があります。

(会社法438条)

 

つまり、会計監査人が設置されていない会社の場合は、

計算書類は、

定時株主総会の承認決議により「確定」するわけですね。

 

すると、「最終の事業年度に係る貸借対照表」とは、

この定時株主総会で承認を受けた計算書類に基づく貸借対照表なのですよね。

 

では、「会計監査人が設置されている会社」の場合は、

どうなるのでしょう?

 

会計監査人設置会社で、

計算書類について会計監査人の無限定適正意見があり、

かつ、

監査役監査報告書(監査役会設置会社なら監査役会監査報告書)において、

会計監査人の監査方法・結果を相当でないと認める意見がなければ、

計算書類は、定時株主総会の「報告事項」となります。

(会社法439条、会社計算規則135条)

 

つまりですよ、

会計監査人設置会社で、

計算書類が定時株主総会の「報告事項」となった場合は、

 

会計監査人が無限定適正意見を出し、

会計監査人の監査方法・結果を相当でないと認める意見がない監査役監査報告書が出されて、

これに基づき「取締役会で計算書類の承認決議がされた時点」で、

計算書類が「確定」するわけですよね。

 

よって、

この場合の「最終の事業年度に係る貸借対照表」とは、
この「取締役会」で承認を受けた計算書類に基づく貸借対照表なのですよね!

 

ごめんなさい。

ちょっと分かりにくいでしょうか?

 

具体例を挙げてみますね!

 

〈会計監査人設置会社のケース〉

会計監査人と監査役の監査終了   :5月7日

取締役会での計算書類の承認決議  :5月10日

定時株主総会での計算書類の承認決議:6月25日

→計算書類は6月25日に確定。

 

〈会計監査人設置会社のケース〉
会計監査人と監査役の監査終了   :5月7日
取締役会での計算書類の承認決議  :5月10日
定時株主総会での計算書類の報告  :6月25日
計算書類は5月10日に確定。

 

 

2.会計監査人設置会社で債権者保護手続きを決算日後定時総会開催日までに行う場合 

・・さて、

計算書類の「確定日」が異なってくる!

という、

衝撃的な事実が突き付けられたわけですが(こわっ!)

 

では、

「決算日」以降「定時総会開催」までに債権者保護公告をする場合

一体、どのような問題が起こるのでしょうか・・(ドキドキっ)

 

具体例をあげてみますね。

 

〈会計監査人設置会社のケース〉
会計監査人と監査役の監査終了   :5月7日
取締役会での計算書類の承認決議  :5月10日

債権者保護手続きの公告      :6月10日
定時株主総会での計算書類の承認決議6月25日

→この場合、債権者保護手続き公告に示す最終の貸借対照表情報は、

「前年度」の貸借対照表情報になります。

(「今年度」は6月10日時点ではまだ確定してませんからね!)

 

よって、

この会社が決算公告をしているのであれば、

債権者保護手続き公告には、

「なお、最終の貸借対照表の開示状況は次のとおりです。
掲載紙 官報
掲載の日時 平成●年●月●日
掲載頁 ●●頁(号外第●号) 」
といった内容が入りますね。

原則とおりです。

 

では、問題の「会計監査人設置会社」の場合です・・

(こわ~い!!)

 

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〈会計監査人設置会社のケース〉
会計監査人と監査役の監査終了   :5月7日
取締役会での計算書類の承認決議  :5月10日
債権者保護手続きの公告      :6月10日
定時株主総会での計算書類の報告  :6月25日
→この場合、債権者保護手続き公告に示す最終の貸借対照表情報は、
「今年度」の貸借対照表情報になります。
なぜなら「今年度」の貸借対照表が、

5月10日時点で確定しちゃっているからです!

 

・・すると・・・

この会社が前年に決算公告をしていても、
債権者保護手続き公告に、
「なお、最終の貸借対照表の開示状況は次のとおりです。
掲載紙 官報
掲載の日時 平成●年●月●日
掲載頁 ●●頁(号外第●号) 」

としたら ダメ~っ! (こわーっ!!)

 

だって、

この決算公告の情報は「前年度」のものですからね・・

ダメなんです・・・

「今年度」のものを示さないといけません。

 

 では、どうするのか。

 

この場合は、

債権者保護手続きの官報公告に、

今年度」の最終貸借対照表情報を、

併記して公告するのです!

(なるほど~!)

 

なお、

債権者保護手続き公告に

最終の貸借対照表情報を併記して公告する場合、

官報公告手続きは、

より早めに申し込む必要があります!

通常より公告スペースを広く確保しないといけないので、

申し込みしてから掲載までに

時間がかかってしまうからです!

(通常、2週間くらい時間がかかるところ、

3週間か、もしくはそれ以上かかることも・・)

ご注意くださいね!

  

いや~、ホントこわいですねえ~!!

どうです?

これは、さすがに怖かったですよね?

(え!そうでもない?・・うそ~っ)

  

以上、債権者保護手続きのこわ~いお話③

会計監査人設置会社の場合でした!

 

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ながながとお読みいただきまして、

本当にありがとうございました!

 

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